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 統計不正問題のうち、基幹統計の一斉点検の際に厚生労働省が報告を怠った「賃金構造基本統計」について、総務省行政評価局が検証結果を公表した。

 調査員調査として届け出ているものを、10年以上前から郵送調査に変えていたとして、厚労省の対応を「遵法(じゅんぽう)意識の欠如」「事なかれ主義の蔓延(まんえん)」と、厳しく批判した。

 だが、昨年末から今年にかけて、出入国管理法改正に伴い外国人を調査項目に加える計画の変更申請への影響を懸念して、担当室長が郵送調査であることを総務省に伏せ続けた行為については論評がない。問題が発覚した際、厚労省自身が「隠蔽(いんぺい)の意図は否定できない」と認めているにもかかわらずだ。

 この問題については当初、厚労省が検証作業をしていたが、第三者性を持たせるとして、総務省に引き継がれた。しかしこの事実認定の甘さを見ると、違う役所とはいえ霞が関内での検証には限界があると言わざるを得ない。

 統計不正の端緒となった毎月勤労統計をめぐる検証の迷走も、目を覆うばかりだ。

 厚労省の特別監察委員会は調査方法のずさんさなどが批判され、先月末、追加報告書を公表した。しかし、対外的にうその説明を続けてきた厚労省職員らの不正行為を、「意図的に隠そうとしたとまでは言えない」と結論づけ、さらに批判を浴びている。

 安倍首相は国会で、「一般的な感覚で隠蔽ではと思うことは当然あるのだろうが、法律的な観点から厳密な定義をしたと思う」と釈明した。しかし国会審議では、監察委は担当者への聞き取りで、隠蔽の意図の有無をただしていなかったことが明らかになっている。

 統計を所管し、統計不正の再発防止策も検討している総務省の統計委員会は追加報告書について、「必要な情報が著しく不足している」「事案の重大性に対する認識が不足している」と批判する異例の意見書を公表した。検証が尽くされなければ、再発防止策の検討もできない。もっともな指摘だ。

 厚労省から総務省へ場当たり的に広がる検証の場。そして中身は個別的、限定的で疑問に応えない。こんな報告書を積み重ねても、国民の不信は募るばかりだ。これまでの検証では不十分だという声は、野党だけでなく与党内からも出ている。

 役所から独立した中立的な組織をつくり、信頼回復と再発防止に資する包括的な検証をやり直すべきだ。

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