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 本当にこんな法外な要求をすれば、同盟国との関係をきしませ、米国の世界戦略にとっても決してプラスにはならない。

 トランプ政権が、日本やドイツなど米軍を受け入れる各国に対し、駐留経費の総額に50%を加えた額を求める案を検討していると、複数の米メディアが報じた。「コストプラス50」と名付けられているという。

 政権内にも異論があり、実際にどうなるかは不明だが、これほど大幅な負担増を要求するとすれば、まさしく同盟軽視の表れと言わざるをえない。

 先月決着した在韓米軍の駐留経費の改定交渉では、韓国が前年比8・2%増の1兆389億ウォン(約1012億円)をのまされた。これまで5年間だった協定の有効期間が1年間に短縮されており、韓国はさらなる増額要求にさらされそうだ。

 在日米軍の維持にかかる費用は、日米地位協定に基づき、米国の負担が原則だ。だが、1970年代後半から「思いやり予算」の名の下で、日本人基地従業員の給与などを日本が担うようになり、例外が拡大した。現在の負担はオバマ政権下の2015年に結んだ特別協定により年約2千億円となっている。

 これ以外の費用も含めた在日米軍関係の経費は計6千億円を超えており、他の同盟国に比べても突出した厚遇だ。厳しい財政事情や国民感情を考えても、増額は考えられない。

 今の協定の期限は21年3月までで、改定交渉が本格化するのは来年の見通しだが、早めにクギを刺す必要がある。この春に開かれる日米外務・防衛閣僚会合(2プラス2)で、米側の真意をただすとともに、理不尽な要求には応じられないと、きっぱりと伝えるべきだ。

 負担増の要求は、米兵の給与や空母・潜水艦の寄港経費まで検討対象だという。そこまで受け入れ国が持つのでは、まるで「傭兵(ようへい)」ではないかという指摘が、米国内からも出ている。

 一方、米国との緊密度合いに応じて要求額の割引も検討されているという。近く始まる日米通商交渉で、日本の譲歩を引き出すディール(取引)に使うとの観測もあるが、論外だ。

 米軍の駐留は、受け入れ国の防衛のためだけではなく、米国主導の国際秩序を維持する戦略の一環だ。世界中に広がる同盟・友好国のネットワークこそ、米国の強みであり、国益にもかなっているのではないか。

 トランプ政権の構想は同盟関係の不安定化を招きかねず、米国自身の安全保障の基盤を損なうものである。

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