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 虐待防止強化のための児童福祉法などの改正案が国会に提出された。

 親による子への体罰禁止を法律に明記することになったのは前進と言える。しかし虐待防止に不可欠な児童相談所の体制強化にはなお課題も多い。

 子どもの命を守るために何が必要か。国会で議論を深め、今後の取り組みに生かさねばならない。

 法改正の柱である体罰禁止については、厚生労働省が今後、何が体罰に当たるかなどのガイドラインを作る。民法が規定する親の子どもに対する懲戒権の扱いは、改正法の施行後2年をめどに検討するとされた。

 体罰禁止に罰則はない。しかし「しつけ」の名のもとに暴力を正当化することは許されないことが、社会の共通認識となれば、児相が家庭に関わりやすくなる。わかりやすいガイドラインと啓発活動が求められる。

 親に対する指導や援助にもあたる児相が、親との関係悪化を恐れて一時保護などをためらう傾向があると指摘されていることを受けて、「介入」と「支援」の機能を担う職員、部署を分けることを促す。弁護士による助言・指導が常時受けられる体制の整備も求める。

 「介入」と「支援」の分離を先行実施している児相では、知見が蓄積されるなどの効果も報告されている。ただ、機能を分けるだけで、ちゅうちょなく一時保護ができるものでもない。リスクを的確に評価できる人材の確保、育成が欠かせない。

 地域の児相を増やすため、人口などをもとに設置の目安となる基準を新たに設けるという。現在の都道府県と政令指定市に加え、中核市に設置を義務づける案もあったが、自治体側が反対し、3年前の法改正の時と同様、施行後5年をめどに政府が支援するとの内容にとどめた。

 中核市では06年度から児相の設置が可能となっているが、整備は進んでいない。今回義務づけができなかったのも、財政負担や人材確保への懸念、「国の支援が十分でない」との不満があるからだ。

 児相が保護をためらわず、深刻な虐待のケースに専念できるようにするには、一時保護の受け皿となる施設や、児相と役割分担する市町村の支援拠点の整備も必要になる。

 いずれもかぎとなるのは財政的な裏付けだ。制度改革が絵に描いた餅に終わらぬよう、いかに人や予算を手当てするか。虐待の悲劇を終わらせるため、あらゆる政策の優先順位を見直していかねばならない。

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