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 この危機意識の欠如には驚くばかりだ。日本オリンピック委員会(JOC)は早急に体制を一新する必要がある。

 竹田恒和会長(71)が6月の任期満了をもって退任すると表明し、理事会も認めた。氏が職を退く決断をしたのは当然だ。だが、なお3カ月の間、会長の地位にとどまるとの結論に、どれだけの人が納得するか。

 竹田氏には、東京五輪・パラリンピックの招致をめぐって、フランス当局から贈賄の疑いがかけられている。捜査の行方はわからないが、氏は1月に潔白を訴える短い記者会見を開いただけで、国民に一切の説明をしていない。それだけで公の組織の長としての資質を欠く。

 氏はこの間、海外での国際会議を相次いで欠席した。身柄を拘束される恐れも指摘されており、出張もままならぬ状態だ。さらに、大会1年前のPR行事への出席を国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らに呼びかけたところ、疑惑を理由に断られたという。

 本来の職務や五輪準備に支障が出ているのは明白だ。開幕まで500日を切ったこの大切な時期に、機能しない人物をトップに据え続けて、JOCはいったいどうするつもりだろう。

 竹田氏もJOCも、当初は事態を甘く見ていた。早期の退任どころか、定年に関する規定を改訂して、氏の続投をもくろんだ。国内外からの厳しい批判を受けて、そのような非常識は何とか避けられた格好だ。

 竹田氏が退任しても問題が解決するわけではない。

 贈賄疑惑に関するJOCの報告書は、関係者の聞き取りも不十分でおよそ納得できる代物ではない。速やかに再調査に取り組み、説明責任を果たさなければならない。そのうえで、JOCの組織のあり方についても見直しを進める必要がある。

 昨年、スポーツ団体に不祥事が相次いだ。目についたのは、長期にわたって君臨するリーダーへの権力の集中、理事会の形骸化、相互チェックの不在だった。団体を統括するJOCにも同じ「病」がうかがえる。旧宮家出身で在任10期17年を超える竹田氏に対し、しっかり意見を言い、議論しようという環境は整っていたのか。

 スポーツ界にガバナンスを導入・確立することが急務の課題になっている。中核に位置するJOCの改革もまた、避けて通れないテーマである。後任の会長選びをどう進めるかを含め、組織の抜本改革に急ぎ取りかからなければ、信用の回復はおぼつかないと覚悟すべきだ。

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