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 生徒が発するSOSを、先生が見逃してしまう。それどころか、先生の言動が生徒を死へと追い詰める。

 こんな悲劇を繰り返してはならない。学校の関係者は、いじめ防止と異変の早期察知へ、強い決意で態勢を整えてほしい。

 いじめが原因で生徒が自殺した二つの事件を巡り、自治体の調査委員会が相次いで報告書を公表した。

 兵庫県尼崎市では2017年末、市立中学2年の女子生徒が自殺した。

 この生徒へのいじめはクラスから部活動、SNSへとひどくなっていった。苦しみ、孤立感を深めた生徒はアンケートなどでいじめのサインを何度も発していたが、クラスの担任、学年主任、部活の顧問ら関わりがあった6人の先生は、誰もそれを受け止められなかった。

 生徒が属していた部活では部員間のもめ事が続いていて、それをこの生徒が言いふらしていると誤解した2人の先生のうち、1人が強く叱責(しっせき)。その直後、生徒は自ら命を絶った。

 茨城県取手市では15年秋、市立中3年の女子生徒が自殺した。同級生によるいじめを教師側が認識できず、生徒と加害側2人のグループが授業に遅刻した際は、この生徒だけが担任教師に叱責された。校舎内のガラスが割れたトラブル時には、現場にいなかったこの生徒も連帯責任を問われ、自殺に至った。

 それから3年余り。市教委がいじめと自殺の関係を否定するような議決をし、不信を強めた生徒の両親からの訴えで茨城県が調査する異例の展開を経た報告書には、生徒が絶望へと追い込まれる過程が記されている。

 先生の感覚の鈍さと、事実関係を把握せずに思い込みで行われた理不尽な指導。二つの事件には共通する問題点が浮かび上がる。先生が自らを省みるのはもちろん、学校に配置されるカウンセラーや保健師、事務職員らも含め、しっかりとアンテナを張り、話を聞き、情報を共有する組織作りが欠かせない。

 学校の外にも多様な窓口を設けることが大切だろう。

 兵庫県川西市の「子どもの人権オンブズパーソン」は、条例に基づく相談・救済機関だ。いじめや不登校など幅広い問題に関して、学校の対応に限界を感じた子や保護者と向き合う。同様の仕組みは約30自治体にあるが、NPOや弁護士会の窓口とともにもっと増やしたい。

 亡くなった2人を思い、教訓を共有し、必要な対策をとる。再発を防ぐための取り組みを急がねばならない。

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