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 ■問題の根っこには、ゆがんだ政策

 今、日本では人口減少を背景に行き場をなくした不動産が急増している。すでに住宅総数は総世帯数を越え、国の2013年調査で14%だった空き家率は、33年には30%になるとの推計もある。

 特に都市部で加速するのがマンションの老朽化問題。築40年超は73万戸あり、27年には2・5倍の185万戸に達するとの見方もある。が、解体して跡地を売却するには、原則として所有者全員の同意が必要なため、たった一人の反対で解体できず住民が危険に晒(さら)される恐れもある。

 一方、地方ではリゾートマンションがバブル崩壊後、投げ売り状態で10万円でも買い手がつきにくい。室内は荒れ放題のため、裁判所の判断で強制的に競売にかけられるが、管理費などの滞納分を含めると実質マイナス価格だ。

 また最近はサブリース問題が深刻化している。業者から節税対策として賃貸アパート建設を勧められ、巨額の借金をして建てた後で自己破産に追い込まれる地主もいる。

 様々な「負動産」問題の根っこにあるのは、「新築主義」とでも言うべき、ゆがんだ住宅・土地政策だ。これを改めると共に、今後はフランスなど諸外国を参考に、日本も行政介入について議論を深める必要があると本書は説く。

 小林雅一(ジャーナリスト)

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 『負動産時代 マイナス価格となる家と土地』 朝日新聞取材班〈著〉 朝日新書 875円

 <訂正して、おわびします>

 ▼23日付読書面のビジネス書評欄「負動産時代」の記事で、マンションの「建て替えには所有者全員の合意が必要」とあるのは、「解体して跡地を売却するには、原則として所有者全員の同意が必要」の誤りでした。建て替えに必要なのは5分の4以上の賛成です。評者が本を読み誤り、編集部の確認も不十分でした。

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