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 欧州の国々でつくる連合体にお別れして、自分の道を歩む。英国がそう宣言して離脱のカウントダウンを始めたのは、2年前の3月29日だった。

 メイ首相は欧州連合(EU)に正式に通知し、議会で高揚した演説をした。「後戻りのない、歴史的な瞬間だ。より強く、より公正で、より結束し、より外向きな英国にしたい」

 あれから2年。EU基本条約の下で定められた期日を、果たせないことが決まった。今月29日の期限の延期を英側が申し入れ、EUは受け入れた。

 新たな期日は当面、4月12日とされるが、さらに延長幅がどうなるか見通しは立たない。何より、英国自身がどうしたいかを決められないからだ。

 この2年間の混迷を、英国は直視するべきだ。英世論は分裂し、議会は政党間の責任転嫁に終始している。メイ氏が力説した「結束」も「外向きな英国」も、むなしく響く。

 英国がいま選ぶことができる現実的な選択肢は、現在の離脱協定案をのむか、それとも抜本的な出直しをするかだろう。

 EUと暫定合意した協定案は穏健な離脱のためには理にかなった内容だ。アイルランドとの国境管理問題を先送りしていても、離脱を優先したいなら強硬派も承認するしかあるまい。

 しかし、議会は2度採決し、ともに大差で否決した。EUが認めた2週間の延長は事実上、メイ氏がこの協定案を通す最後の機会を与えたに等しい。

 だが、3度目の採決があったとしても可決される可能性は小さいだろう。メイ政権の求心力は著しく低下したからだ。

 この行き詰まりを打開するには大きな政治判断が必要だ。

 その一手としては、方向感を失った議会を変えるため、解散総選挙を行うことではないか。国の重大な針路について国民に問うことを、メイ首相も与野党も、ためらってはなるまい。

 3年前の国民投票は、離脱を望む民意を示した。その結果を政治が尊重して最善の離脱条件を探ってきたのは、民主主義のルールとして当然だった。

 しかし、この3年で英国は、離脱に伴う未知の苦痛の現実を学んだはずだ。多くの状況が変わったともいえる。2回目の国民投票の道も、排除されるべきではないだろう。

 英議会のウェブサイトには「離脱の撤回」を求める嘆願書への署名が殺到し、一時ダウンする騒ぎになった。英国と欧州、そして世界の不安を和らげるために、英政府と議会は根本的な出直しを考える時だ。

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