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 1995年の阪神・淡路大震災以降、災害による関連死と認定された人は少なくとも約5千人にのぼる。

 その多さに驚く。対応次第で減らせるはずの犠牲だ。国は実態を把握し、今後の施策に役立てなければならない。

 関連死とは、避難中の体調不良や既往症の悪化などで亡くなることをいい、阪神大震災から災害弔慰金の支給対象になった。遺族の申請を受けた市町村が、審査委員会で災害との因果関係を調べ、認定されると最大500万円が支払われる。

 朝日新聞が、避難生活が長期にわたった15の地震や風水害の地元自治体などに取材したところ、阪神で921人、2011年の東日本大震災で3701人、16年の熊本地震で218人が、関連死していた。

 阪神では避難所でインフルエンザが流行し、熊本では肺炎や気管支炎、心不全、くも膜下出血が多発。04年の新潟県中越地震では車中泊によるエコノミークラス症候群が問題となった。避難生活中の自殺が関連死と認められた例もある。

 悲劇を減らすには、教訓を生かした対策が欠かせない。

 それなのに、実態を総合的に把握している省庁はない。市町村がそれぞれ認定基準をつくるが、どんなケースを認定したかなど、明らかにされる範囲も内容もばらばらだ。これでは情報が広く共有されず、効果ある対策を考えるのは難しい。

 復興庁は12年に「東日本大震災における震災関連死に関する報告」をまとめ、要援護者対策や避難所での生活、心のケアなど改善すべき課題をあげた。だが調査した対象は把握できた約1600人の8割だけで、どうすれば救えたか、といった視点での分析は十分でない。しかもその後、他の災害ではこうした報告すらされていない。

 日本弁護士連合会は昨年8月の意見書で「個別の事例には貴重な教訓が多数詰まっている」と指摘し、政府が調査機関を設けることや、事例を分類・公表して自治体が検索できるようデータベース化することを提案した。関係省庁はぜひ参考にしてもらいたい。

 適切な環境や医療・介護サービスを整えれば、関連死の相当数は防げる。医師や介護、防災などの専門家が、一人ひとりの死因や被災後の生活を検証し、何が足りなかったか具体策を導き出すことが求められる。

 プライバシー保護に留意しつつ、情報を集め、開示し、社会で共有する。そうすることで救える命を一つでも多くしたい。

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