(文芸時評)熱量こそ礎 二十世紀の小説を読みなさい 磯崎憲一郎
けっきょく人間は過去でできている、本欄を担当したこの二年間、ときおり、しかし繰り返し付き纏(まと)われたのは、自分でも意外なことに、まだ物書きになるとは思っていなかった、なろうとさえ考えていなかった二十代の終わりから三十代の初め、たまたま新聞を開いて目に留まったコラムとして読んだ、大江健三郎氏によ…
けっきょく人間は過去でできている、本欄を担当したこの二年間、ときおり、しかし繰り返し付き纏(まと)われたのは、自分でも意外なことに、まだ物書きになるとは思っていなかった、なろうとさえ考えていなかった二十代の終わりから三十代の初め、たまたま新聞を開いて目に留まったコラムとして読んだ、大江健三郎氏によ…