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 「検証がなされていない」「社会的常識を逸脱した行為」「言語道断」……。

 くじで選ばれた市民の代表が、こんな疑問や不信、怒りを込めた議決をした。検察は真摯(しんし)に受け止め、再捜査を尽くさねばならない。

 学校法人森友学園への国有地売却や財務省の関連文書改ざんをめぐる問題で、大阪地検特捜部が不起訴処分とした佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長ら10人について、大阪第一検察審査会が「不起訴不当」と議決した。

 地中のゴミ撤去費として鑑定価格から8億円余、8割超も値引きしたのは妥当なのか。検察は「業者による見積額は不合理とはいえない」としたが、審査会の議決は「利害関係のない他の業者などの意見を参考に、客観性のある試算を行うなど捜査を尽くすべきだ」と指摘した。

 売却への政治家秘書らの関与についても、不起訴記録にある証拠だけでは影響の有無は判断しがたいと言及し、さらなる解明を求めた。

 一方、安倍首相の妻昭恵氏らの名前が削除された決裁文書の改ざんに関しては、社会的常識を逸脱していると厳しく非難。「原本が証明していた内容が変わってしまった」として変造だと結論づけ、罪に問わなかった検察と異なる見解を示した。財務省が廃棄した学園側との交渉記録についても、検察の「公用文書とは認められない」との判断を否定した。

 いずれも、一般的な市民感覚に沿った内容と言えるだろう。

 行政の公平性がゆがめられたのではないか。国民を代表する国会の審議が、うその資料と答弁に基づいて重ねられたのではないか。審査会の議決には、そんな民主主義への危機感がうかがえる。

 今回の議決は、強制起訴につながる「起訴相当」ではなく、検察が再び不起訴とすれば捜査は終わる。一方で、議決は「公開の法廷で事実関係を明らかにすべく起訴する意義は大きい」とも付言した。市民の代表が事実を知ることを願い、説明責任を果たすよう求めたことを、検察は重く受け止めるべきだ。

 そのメッセージは、国会にも向けられている。

 統一地方選が始まり、国会はすっかり選挙モードともいう。しかし、森友問題をうやむやにしたままでは、行政を監視する役割を国会が十分に果たしていないのではないか、との疑問符は消えない。

 森友問題は、民主主義の根幹にかかわる。関係者はそのことを思い起こさねばならない。

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