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 外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が、あす施行される。

 政府・与党が昨秋の臨時国会で強引に成立させた法律だ。当時から準備が間に合うのかとの声が多かったが、その懸念が現実のものになってしまった。

 例えば、外国人を募り、送り出してくる国外の仲介業者の問題だ。政府は、新設された「特定技能」の資格で働く人が多数見込まれる9カ国と、悪質業者を排除するための協定を結ぶと表明していた。だが締結に至ったのは4カ国にとどまる。

 法外な保証金や渡航費を業者に徴収され、借金を抱えて来日した結果、勤務先で不当な扱いを受けても働き続けざるをえない――。そんな人権侵害行為がこれまでもまかり通ってきた。根絶に向けて態勢を整えることは喫緊の課題である。

 在留手続きや生活全般の相談に応じる「ワンストップセンター」の創設も心もとない。支援策の目玉のひとつとして、全国に約100カ所に設ける計画だが、国に運営交付金を申請したのは62自治体だけだ。

 今後も募集するというが、穴のあいた状態をいつまでも続けるわけにはいかない。

 外国人を単なる労働力ではなく「人」として受け入れる。この基本姿勢を欠いていたことを改めて突きつける調査結果が、法務省から公表された。

 職場から姿を消し、後に見つかった技能実習生5218人を調べたところ、約15%にあたる759人が、最低賃金割れや不当な残業、外出制限などの扱いを受けていたという。

 臨時国会で同省が示した資料に誤りや不備が目立ち、やり直しを求められていたものだ。なお全体を網羅したものとは言えないが、これほど多くの問題事例が発覚したことを、政府は真剣に受け止めねばならない。

 驚くのは、失踪の事実を把握してもそのままにして、実習先の職場環境などをほとんど調べてこなかった法務省の対応だ。外国人を取り締まりの対象としてしか見てこなかったことを、如実に物語っている。

 同省入国管理局は出入国在留管理庁に格上げされ、職員も増える。「管理」の意識を根底から変え、労働基準監督署や自治体と連携して「保護・共生」の視点から業務に取り組まなければ、働き先として日本を選ぶ外国人は減るばかりだろう。

 従来の政策に対する反省抜きに、受け入れ拡大を拙速に進めたツケを、外国人に回すことは何としても避けなければならない。政府には重い責任がある。

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