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 政府はきのう、エジプトのシナイ半島でイスラエル、エジプト両軍の停戦を監視する多国籍監視軍(MFO)の司令部に、陸上自衛隊の幹部自衛官2人を派遣する計画を閣議決定した。

 3年前に施行された安全保障関連法で新たに認められた「国際連携平和安全活動」の初めてのケースになる。国連平和維持活動(PKO)でなくても、国際的な枠組みで行われる類似の活動に自衛隊も参加できるようにしたものだ。

 国連のお墨付きのない活動に自衛隊の海外派遣を拡大するというのに、これまで国会などで、十分な検討が加えられてきたとは言いがたい。

 政府は、司令部のある半島南部は「おおむね平穏」で、PKO参加5原則も満たすとしているが、今回の派遣を機に、日本の強みをいかし、真に現地の役に立つ国際平和協力のあり方について議論を深めるべきだ。

 そのためには、カンボジアに始まって、ゴラン高原やハイチなど各地で展開したPKO活動のみならず、特別措置法をつくって自衛隊を派遣したイラクでの復興支援活動なども含め、実績を整理し、課題と教訓を引き出す必要がある。

 特に点検が欠かせないのが、大規模な武力衝突が起こるなど、不安定な治安の下で行われた南スーダンPKOだ。政府は安保法に基づく新任務「駆けつけ警護」を付与したが、実施されることなく、数カ月後に部隊は撤収した。「日報」問題の混乱もあり、活動の検証はおろそかなままだ。

 いま、日本のPKO参加は、南スーダンに残してきた司令部要員4人だけで、積極的平和主義を掲げる安倍政権は新たな派遣先を探していた。シナイ派遣には、安保法の新任務や自衛隊の海外活動の実績づくりという狙いもあろう。

 今回、司令部への要員派遣となった背景には、大規模な部隊を送りにくくなった現状がある。近年、PKOの多くが、紛争下での住民保護のため、積極的に実力を行使する活動へと変質しているためだ。

 そんななかでも、日本にできる支援策として、復興に必要な油圧ショベルなど重機の使い方について他国軍の教育訓練にあたる能力構築支援や、自衛官や警察官、法務官僚らが紛争後の国の軍隊、警察、司法制度づくりに協力する治安部門改革(SSR)などが、有力な選択肢となりうるだろう。

 派遣実績の積み上げや、対米配慮のために自衛隊を出すという発想から、もはや脱すべき時だ。現地の実情を知るNGOの意見も聞きながら、支援の質の向上を図らねばならない。

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