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 政権中枢への忖度(そんたく)が行政の公平性をゆがめているのではないか。森友・加計問題などで、そんな厳しい視線が注がれるなか、こんなにも堂々と、忖度による利益誘導を認めるとは、驚き、あきれるほかない。

 関門海峡で本州と九州を新たに結ぶ「下関北九州道路」をめぐる、塚田一郎・国土交通副大臣の発言である。

 塚田氏は1日、北九州市であった福岡県知事選の自民党推薦候補の集会で、副大臣室を訪ねてきた自民党の吉田博美参院幹事長とのやりとりを紹介した。

 吉田氏「塚田、分かってるな。これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」

 塚田氏「分かりました」

 塚田氏は「総理とか副総理がそんなこと言えません。でも、私は忖度します」と続け、事業化の調査費用を19年度予算から全額国の負担としたことを、自らの手柄のように語った。

 塚田氏は2日、一連の発言は事実と異なるとして撤回・謝罪した。きのうの国会では、「首相、副総理の地元の案件だから特別な配慮をしたことはない」と釈明。吉田氏の発言についても、そのような趣旨のものはなかったと否定した。

 しかし、それが本当だとしても、地元への利益誘導で支持者の歓心を買おうとした事実は消えない。臆面もなく「忖度した」と何度も集会で繰り返した振る舞いは、政治家として不見識極まると言わざるを得ない。

 塚田氏が自ら辞任しないのであれば、安倍首相が速やかに更迭すべきだ。

 しかし、首相はこの発言を軽く見ているようだ。きのうの国会でも「すでに撤回し、謝罪した。まずは本人からしっかりと説明すべきだ」とかばう姿勢に終始した。

 忖度による政策判断などあってはならないと思っているのであれば、きちんとけじめをつけるのが当然ではないか。

 横畠裕介内閣法制局長官が先月、国会答弁の撤回・陳謝に追い込まれたことがあった。

 内閣に対する国会の監督機能についての野党議員の質問に、「このような場で声を荒らげて発言するようなことまでとは考えておりません」と皮肉まじりに答えたのだ。

 全国民の代表である国会議員の質問に、閣僚は誠実に答える義務がある。ましてや、閣僚を補佐する立場の官僚が質問を揶揄(やゆ)することは許されない。しかし、参院予算委員長による厳重注意で済まされた。

 安倍内閣はこれまで、数々の閣僚や官僚の問題発言を不問に付してきた。何を言おうとかばってくれるとなれば、おごり、緩みは決して改まるまい。

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