(EYE モニターの目)今月のテーマ:東京五輪・パラリンピック
■「障害者のため」矛盾も
連載された「聖火は照らす」はとても衝撃的だった。パラリンピックが周知されたことはいいと思うが、半面、勝つことに注目がいき、一般の障害者にとって身近でなくなってきている。パラリンピックがすべての障害者のためになっているのか。もう一つは国対抗の意識について。メダルの数で国同士が争いあう現状でいいのか。それぞれの記事は五輪の矛盾をわかりやすく解説していた。私たちはいま一度、五輪の意義を考え直す時期にきているのでないか。(伊藤陽子 43歳 東京都)
■復興の妨げ、本末転倒
東京五輪・パラリンピックの予算、原資、開催のメリット、デメリット、経済効果など改めてもう一度、整理して欲しい。復興五輪なのに五輪が復興の妨げになっているのは本末転倒だ。国を挙げてのイベントだけに国民のコンセンサスがいる。災害が多発し、経済が低迷し、国が多くの課題を抱える中、五輪開催を手放しで喜んでいない人もいる。五輪報道は純粋なスポーツの側面だけではない。アスリートをたたえながら、政治的側面にもメスを入れて欲しい。(山岸昌弘 63歳 千葉県)
■招致巡る公平性、疑問
一時的なイベントに巨額を投じる余裕があるなら、東日本大震災の復興に使うべきだと考えている。また、今回、日本オリンピック委員会の竹田恒和会長による買収疑惑が持ち上がり、公平な招致運動がなされたのか疑問で、やるせない気持ちになる。竹田会長の退任が決まったが、今後も動向を詳しく報道してもらいたい。今後、国際的イベントがクリーンに実施されるためにはどうしたらいいか。日本は世界からどう見られているのか。報じてほしい。(菅井周二 66歳 東京都)
<光も影も丁寧に報じる>
夏季大会として半世紀ぶりの自国開催になる2020年東京五輪・パラリンピック。その意味や価値、影響を考えようと、2月から総合面連載「聖火は照らす」をはじめました。タイトルは、取材記者たちから寄せられた計54の案のなかから選びました。
連載のタイトルは、読者のみなさんに何を伝えようとしているのかを示す看板であるだけでなく、取材記者たち自身にとっても何を伝えていくのか、つどつど振り返る旗印になる大切なものです。大会には光も影もある。そんな多面的な姿を、行く手を照らすけれども、ときに影をつくり、揺らぐ炎に重ねました。
連載に限りません。限界に挑戦する選手たちには、熱いまなざしを。大会開催にかかる巨額な費用や招致をめぐる汚職疑惑には、厳しいまなざしを。日々の報道でも、大会の光と影をていねいに報じていく姿勢を確認しています。
五輪の開幕まで500日を切りました。スポーツ面では連載「五輪をめぐる」もスタートしました。今後も、さまざまな企画、特集を予定しています。ご期待ください。(東京2020専任部長・隅田佳孝)
■関心の高かったテーマ(2月25日~3月22日)
(1)東日本大震災8年 91件
(2)辺野古移設問題 55件
(3)統計不正問題 47件
(4)セブン-イレブン24時間営業問題 29件
(5)Dear Girls 27件
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この欄はクイックモニターのみなさんから朝日新聞紙面について寄せられたご意見のうち、ニュース・テーマ別に整理して数が多かった上位5件を紹介します。原則、前週までの1カ月間にお寄せいただいたご意見が対象です。(1)については「復興の現状を伝えつつも、未来志向の記事に毎年励まされる」との感想が寄せられました。(2)では、県民投票の結果を受け、「今度は本土に住む人が考える番だ」という点に思いをはせたとの声がありました。
◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています。
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