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 周辺住民の理解なくして、駐屯地や基地などの安定的な運用は望めない。防衛省はその基本を忘れていないか。

 沖縄県の宮古島に3月に新設された陸上自衛隊の駐屯地に、中距離多目的誘導弾と81ミリ迫撃砲弾が搬入されたことに、地元が反発している。事前の住民説明会で、駐屯地に保管するのは「小銃弾や発煙筒など」と説明していたのに、はるかに破壊力のある誘導弾などを持ち込んだためだ。

 岩屋防衛相は記者会見で「説明が不十分だった。おわび申し上げたい」と述べた。しかし、結果的に住民を欺いたと見られても仕方あるまい。かねて問題となっている防衛省の隠蔽(いんぺい)体質を思えば、意図的に説明しなかったとの疑いもぬぐえない。

 この春、防衛省は宮古島と、鹿児島県の奄美大島に駐屯地を新設した。ミサイル部隊と警備部隊を置き、周辺の海峡や上空を通る中国軍の艦艇や航空機を牽制(けんせい)する狙いがある。

 宮古島では、ミサイル部隊が持つ地対艦誘導弾(SSM)や地対空誘導弾(SAM)については、地元住民の懸念もあり、駐屯地から離れた場所に保管することにした。

 一方で、警備部隊が持っている中距離多目的誘導弾と81ミリ迫撃砲弾の置き場所について、防衛省は住民に説明しなかった。地元から質問がなかったから答えなかったという。

 パンは食べたが米は食べていないので「朝ご飯は食べていない」――。国会で批判された「ご飯論法」にも通じる欺瞞(ぎまん)的な対応ではないか。太平洋戦争末期、地上戦の惨禍に見舞われた沖縄の住民の思いを軽視していたと言うほかない。

 防衛省が活動の実態を隠し、住民の疑問に真摯(しんし)に向き合おうとしないのは、宮古島だけのことではない。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地である秋田、山口両県でもそうだ。

 迎撃ミサイルを撃った時に、1段目が周辺に落ちる恐れを指摘されると「地元住民に危険が及ばない演習場内などに落下させる」という。確実にそう言い切れるのか。有事に攻撃対象となるのは自明なのに「むしろ配備先の住民の生命・財産を守ることに資する」と説明しているのも、理解に苦しむ。

 防衛省・自衛隊の隠蔽体質は根深いものがある。沖縄の辺野古の埋め立てでは、最近まで軟弱地盤の存在を隠し続けた。南スーダンPKOでは「戦闘」を「衝突」と言い換えた。

 防衛のため必要なら不都合な事実は知らせなくともよい、とでも思っているのか。だとしたら、考え違いも甚だしい。

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