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 近年、スポーツ団体で不祥事が続いた反省を踏まえ、スポーツ庁の審議会でガバナンスコード(組織統治規範)づくりが進んでいる。月内にもたたき台を示し、パブリックコメントにかけるという。

 選手が安心して競技に打ち込み、周囲も心から応援できる環境を整えるには、スポーツ界の「近代化」は不可欠だ。身内で固まり、伝統の名のもと、社会常識から乖離(かいり)した運営を続けていては、世界の動きから大きく取り残されてしまう。

 たたき台には、組織運営の基本計画の策定▽規定の整備▽コンプライアンス委員会の設置と教育の強化▽法務・会計体制や内部通報制度の構築――などが盛り込まれる見通しだ。日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ協会(JSPO)が定期的に審査し、問題があれば、改善指導や加盟取り消しの処分をできるようにすることも検討されている。

 最近の不祥事の背景を思い起こすと、いずれもうなずける措置だ。なかでも取り組むべきは役員体制の整備、具体的には、定年制や再任回数に上限を設けるルールの導入だろう。

 権力が一部の人間に集中し、理事会の形骸化やハラスメントの横行を招いたのは記憶に新しい。世代交代を確実に行い、組織の新陳代謝を図れる仕組みにしなければ、同じような問題がくり返されることになる。

 だが、競技団体の執行部には反発があるようだ。人材の不足を指摘する声も聞かれる。しかしそれは、内部にのみ目を向けているからではないか。ここは発想の転換が必要だ。

 良い例がある。内紛により処分を受け、国際大会に出場できなくなった日本バスケットボール協会は、日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏、続いて女子バレーボールの銅メダリスト三屋裕子氏を会長に迎えて再建をめざし、東京五輪への出場権を手にするまで盛り返した。大事なのは「経営者」としての能力であり、競技歴でも性別でもないことを実証する話だ。

 運営の効率化も欠かせない。

 通訳や会計などの事務局機能を担うスタッフを、複数の団体で共同採用する。内部通報制度を一本化し、コストを削るとともに、経験を重ねることで対応力を向上させる。折しも多くの競技団体が入居するビルが近く移転する。たこつぼに閉じこもらず、互いに意識しあう関係を築く好機にしてはどうか。

 求められているのは、透明で信頼できる組織になることだ。JOCやJSPOには自身の改革とあわせて、各競技団体をしっかりサポートし、全体の底上げを図る責務がある。

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