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 重大な事故が起きながら、既に決めたことだからといって、この戦闘機を計画通り米国から買い続けるのか。政府はいったん立ち止まり、原因究明に最優先で取り組むべきだ。

 青森県の航空自衛隊三沢基地に所属する最新鋭ステルス戦闘機F35Aが太平洋上に墜落してから1週間。パイロットはなお行方不明で、機体も尾翼の一部しか発見されていない。

 米ロッキード・マーチン社製のF35は、高いステルス性と電子戦能力を持ち、空自が次世代の主力戦闘機と位置づける。墜落機は約140億円。短距離離陸・垂直着陸が可能なB型が昨年9月、米国で墜落したことはあるが、通常離着陸型のA型の墜落事故は初めてだ。

 操縦していた41歳の男性3佐は、F35Aで約60時間、他の機種を含め、約3200時間の飛行経験があるベテランで、編隊長として訓練を率いていた。

 エンジントラブルなど機体に原因があったのか、操縦士が上下左右の感覚を失う空間識失調や人的ミスなのか、予断なく、あらゆる可能性を視野に入れなければならない。愛知県の三菱重工小牧南工場で組み立てられた墜落機は、17、18年に機材の不具合で緊急着陸していた。今回の事故と関連がないかも調べる必要がある。

 ただ、機体は水深1500メートルの海底に沈んだと見られ、今後の調査は容易ではない。軍事機密の塊でもあり、回収できたとしても、日本側が分析に十分関与できるか、わからない。

 政府は昨年末、F35を将来的に計147機体制とする方針を決めた。現在取得を進めている42機に加え、1兆2千億円以上かけてA型63機、B型42機、計105機を追加する。B型は空母化される「いずも」型護衛艦での運用も念頭にある。

 岩屋防衛相は先週の記者会見で「現段階で取得・配備の計画を変更する考えはない」と述べた。しかし、機体に欠陥が見つかれば大幅な見直しは避けられない。調査が長期化した場合も練り直しは必須だろう。

 F35については、米議会に付属する政府監査院(GAO)が昨年6月、未解決な欠陥が966件あると指摘した。防衛省は「米側に確認したところ課題はない」と言うが、米政府の説明をうのみにしていないか。

 トランプ大統領がF35など米国製兵器の大量購入を求めているが、防衛の根幹と隊員の命にかかわる問題である。計画ありきで、なし崩しに進めるわけにはいかない。まずは日米両政府が今週予定する外務・防衛閣僚会合(2プラス2)で、原因究明に向けた協力態勢を確立できるかが問われる。

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