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 日本と中国との関係が少しずつ前進している。率直な対話を重ね、やがては真の互恵の関係を築けるよう期待したい。

 今週は両国の閣僚級による経済対話が北京で開かれた。河野外相や世耕経済産業相ら日本の閣僚6人が出席した。

 この会合は2007年に始まったが、その後の関係悪化で中断が続いた。再開されたのは昨年からで、今回が5回目だ。

 「正常な軌道に戻った」。日本の代表団を迎えた王毅(ワンイー)外相の発言が示すように、両国の対話はやっと本来の標準レベルにまで復元したといえる。

 この機運を大切にしたい。とくに今年は、関係を飛躍させる機会に富む年である。

 6月に大阪でG20首脳会議があり、習近平(シーチンピン)国家主席の訪日が見込まれている。実現すれば、国家主席の来日は2010年の胡錦濤(フーチンタオ)氏以来となる。

 世界第2、第3の経済力を抱える隣国同士の首脳往来がこれほど長く途絶えていたのは尋常ではない。経済や文化などの広い交流拡大を政治が妨げる過ちを繰り返してはなるまい。

 日本側は、秋にも習氏の来日を実現できないか働きかけている。さらに今年は日中韓首脳会議の議長が中国だ。順調に開かれれば安倍首相が訪中する。

 もちろん両国の間には、一朝一夕には解決できない難題が多い。尖閣諸島を含む東シナ海に加え、南シナ海問題など中国の強引な動きは大きな懸案だ。

 そのうえ最近は、米国と中国との摩擦が高まっている。トランプ政権は貿易面での不均衡の是正を中国に求めるとともに、安全保障面でも牽制(けんせい)を強める。そうした米中の緊張は、今回の日中対話にも影を落とした。

 日本は米国に同調するかたちで、知的財産保護などの対応を中国に求めた。一方、中国は高速移動通信方式「5G」で、日本が中国の企業を排除しようとしているとの懸念を示した。

 ここには、これからの日本に課せられた長期的な課題が垣間見える。それは、米国との同盟を維持すると同時に、中国との新たな建設的な関係を生みだすという難しい作業だ。

 米中はともに、自国第一主義のつばぜり合いを続けている。そのはざまに立つ日本は、法の支配と多国間主義の尊重という原則を忘れてはならない。

 中国に対しては、持続的成長に向けた経済の構造転換を求めるとともに、軍拡や人権問題への苦言を呈すべきだ。北朝鮮問題では、朝鮮半島の安定という共有の利益を考え、日中が意見交換する余地はあるだろう。

 米中関係の曲折に翻弄(ほんろう)されるのではなく、能動的な日本外交を展開できるか問われている。

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