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 昨年9月の日米首脳会談での合意に基づく二国間の貿易交渉が始まった。農産物や自動車などの物品に加え、電子商取引といったデジタル貿易についても議論するという。

 交渉にあたった茂木経済再生相は「早期にいい成果を出したいと、互いに一致している」と述べた。米通商代表部(USTR)も声明に「実質的な結果に結びつけるという共通の目標を再確認した」と記した。

 米国は一方で、676億ドル(約7・6兆円)という対日貿易赤字について「懸念を表明した」とも強調した。

 両国の利害が対立する本格的な交渉は、これからが本番だ。あらゆる方面から米国は厳しい要求を突きつけてくるだろう。

 日本は公正で自由な貿易の原則を、徹底して主張していく必要がある。

 焦点の一つは、対日貿易赤字の多くを占める自動車だ。

 トランプ米大統領は安全保障を理由に、輸入車へ高率の追加関税を検討している。昨年の首脳会談後の共同声明には「協議中は、声明の精神に反する行動を取らない」と盛り込まれ、茂木氏は「(日本に追加関税を)適用しないと、きちんと確認をとった」と述べた。

 だが、米国は各国に高関税を振りかざし、カナダとメキシコとの貿易協定には、輸入数量規制につながりかねない条項を盛り込んだ。米国が国際ルールに反する行動にさらに走らぬよう、日本は繰り返しくぎを刺すべきだ。

 農産品では、米国が抜けた環太平洋経済連携協定(TPP)が発効したことで、米国産の牛肉や豚肉にかかる関税が豪州などより高くなり、米国は不利な立場におかれている。

 日本はこの状況を追い風にして、農業分野での関税引き下げはTPPの範囲内でしかできないこと、自動車分野で無理な主張をすべきでないことを、米国に説いていきたい。

 日本はもともと、米国にTPPへの復帰を求め、大国に有利になりがちな二国間の交渉は避ける考えだった。しかし自動車への追加関税をちらつかされ、米国に譲歩する形でいまの枠組みができた。

 昨年の首脳会談後、米国との交渉について、日本政府はモノの関税に特化して話し合う物品貿易協定(TAG)であると強調し、安倍首相は「包括的なFTA(自由貿易協定)とはまったく異なる」と述べた。

 実際にはデジタル貿易の議論が始まり、将来的にはサービスや投資分野も対象となる可能性がある。どの分野について米国と交渉を進めるのか、政府は国民に丁寧に説明するべきだ。

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