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 「イタリア映画祭2019」が27日~5月4日、東京・有楽町朝日ホールで開かれる。19回目となる今年は、日本初公開のバラエティー豊かな新作14本と短編1本を紹介する。それに加えて、昨年亡くなった巨匠ビットリオ・タビアーニとエルマンノ・オルミを追悼して、彼らの監督作など5本をアンコール上映する。イタリア映画を熟知している翻訳家・ラジオDJの野村雅夫さんに、今年の注目作を紹介してもらった。

 (各作品のカッコ内の日時は上映時間)

 ■翻訳家・ラジオDJ、野村雅夫

 ここ数年、女性のエンパワーメントを謳(うた)う作品が世界的に増えている。男性優位な社会に蹴りを入れて溜飲(りゅういん)を下げるタイプのものも痛快ではあるが、着眼点がユニークなのは「カプリ島のレボリューション」だ。ヨーロッパが第1次世界大戦へと舵(かじ)を切り、カプリのような辺境にも電気が通って資本主義経済が押し寄せる前夜の物語。主人公は、伝統的で閉鎖的な社会でヤギ飼いとして生きる年頃の娘だ。満足な教育も受けていない彼女が出会うのは、島でヒッピー的なコミューンを作る北欧のアーティスト集団。ヌーディズムと菜食主義を実践する彼らとの交流を通して、娘は自らの価値観を次第に変化させる。浮かび上がるのは、女性の自立や人工的なユートピアの功罪など、今に通じる普遍的なテーマだ。舞台演出家としても知られるベテラン監督マルトーネは、カプリの明媚(めいび)な自然に登場人物の心模様を投影してみせる。一見静かながら、時に実験的でもある独特の映像運びが、深い余韻を残す1本だ。

 どの国の映画界にも「ガラスの天井」がある中、気鋭の女性監督として気を吐くビスプリの2作目「私の娘よ」にも注目したい。生みの母から育児放棄され、育ての母の愛を受けて育った10歳の少女が、ある日出生の秘密を知る。対照的な暮らしぶりの大人ふたりが「そして母になる」のかどうか、こちらはサルデーニャ島の荒涼たる景色をバックに、監督は手持ちカメラでその揺れる想(おも)いをすくい取っていく。

 多彩なラインナップで日本未公開の新作を扱い続けてきた本映画祭。今年の大きなニュースのひとつは、イタリアで高い人気と評価を誇る漫画家ゼロカルカーレのデビュー作を映画化した「アルマジロの予言」だ。日本ではまだほとんど知られていないが、文学賞にもノミネートされるなど、イタリアのグラフィックノベルは質の高いものも多い。今後、こうしたコミック原作が増えていくのか。その試金石と言える作品だろう。

 (寄稿)

 ◆カプリ島のレボリューション

 (4月27日午後5時50分、5月2日午前10時20分)

 ◆私の娘よ

 (4月28日午前10時20分、5月1日午後3時50分)

 ◆私が神

 ローマが舞台のコメディー。税金に苦しむ宿泊施設のオーナーは、そこを新興宗教の礼拝の場にして免税の優遇を受けようとする。

 (4月30日午後1時5月3日午後3時55分)

 ◆ルチアの恩寵

 独創的で神秘的なコメディー。一人娘の子育て、恋愛、測量技師の仕事に奮闘する女性は、受注した仕事の陰謀に巻き込まれる。

 (4月28日午後6時40分5月4日午後1時)

 ◆月を買った男

 設定が奇抜なドタバタ喜劇。サルデーニャ島の誰かが月を買ったという情報を受け、情報機関が青年を潜入捜査で島に送り込む。

 (4月27日正午5月1日午後6時10分)

 ◆サン★ロレンツォの夜

 第2次世界大戦末期、ドイツ軍から逃亡した村民らの悲惨な出来事を描いたタビアーニ兄弟の代表作。カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞。

 (5月1日午後1時)

 ◆女性の名前

 セクハラがテーマの女性の物語。新しい職場でセクハラに遭ったシングルマザーは、失職を恐れる同僚から孤立しても立ち上がる。

 (4月28日午後4時5月3日午後1時40分)

 ◆幸せな感じ

 スター俳優の共演が見もののドラマ。田舎の教師で慎重な兄と都会の企業家で大胆な弟は、兄の重病を契機に親密な関係になる。

 (4月29日午後4時10分5月2日午後1時30分)

 ◆アルマジロの予言

 今のイタリアの若者を捉える青春物語。非正規雇用で日々をやり過ごす青年は、好きだった女性の死を聞き、人生を見つめ直す。

 (4月29日午前10時20分5月3日午後6時15分)

 ◆ドッグマン

 カンヌ国際映画祭で男優賞に輝いた衝撃的な不条理ドラマ。暴力的な友人との従属関係から抜け出せず、仲間や娘の信頼を失った男はある行動に打って出る。

 (5月2日午後4時15分)

 ◆そのほかの作品の上映日時

 「ある日突然に」4月30日午前10時20分、5月4日午後3時30分/「憶えてる?」4月30日午後3時50分、5月4日午後5時40分/「彼女は笑う」+短編「サンテンハチジュウナナ」4月29日午後1時10分、5月2日午後6時40分/「帰ってきたムッソリーニ」4月28日午後1時10分/「盗まれたカラヴァッジョ」(仮題)4月27日午後2時45分/「ひばり農園」4月30日午後6時45分/「情熱とユートピア」5月1日午前10時20分/「聖なる酔っぱらいの伝説」5月3日午前10時20分/「ポー川のひかり」5月4日午前10時20分

 ◇製作年は「サン★ロレンツォの夜」が1982年、「聖なる酔っぱらいの伝説」が88年、「サンテンハチジュウナナ」が2005年、「ポー川のひかり」が06年、「ひばり農園」が07年、「情熱とユートピア」が14年、そのほかは18年。

 <東京・有楽町朝日ホールで>

 ■27日[土]~5月4日[土][祝]、東京・有楽町朝日ホール

 ■前売り券 セブンチケットで販売中。一般1450円(アンコール上映作品は1200円)、学生・60歳以上1350円(同1100円)。前売り券が完売の回も、当日券は映画祭会場で発売

 ■問い合わせ ハローダイヤル(050・5542・8600、26日まで)、会場直通(03・5221・0070、会期中)。公式サイト http://www.asahi.com/italia/

 主催 朝日新聞社、イタリア文化会館、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ

 特別後援 イタリア共和国大統領

 後援 イタリア大使館

 協賛 コスタクルーズ日本支社、マセラティジャパン、FCAジャパン

 協力 帝国ホテル、アリタリア―イタリア航空

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