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 学級担任が全教科を教えるのは小学4年生までにして、5年生からは、中学のように各教科を専門教員が指導する「教科担任制」を導入するには、どんな準備や手当てが必要か――。

 文部科学相の諮問を受けて、中央教育審議会で議論が始まることになった。ひとりの先生が小学校と中学の両方で教えられるように、教員免許の制度も見直したいという。

 戦後スタートした6・3制の大変革につながる可能性がある。「小中の枠を取り払い、9年間の一貫教育にしたほうが合理的だ」という意見も出てこよう。来年末の答申をめざすとしており、目が離せない審議になりそうだ。

 諮問の背景にある問題意識はこうだ。

 人工知能などの技術革新や国際化の進展で、子どもたちが学ぶべきことは増え、求められる水準も高くなった。一方で教員の繁忙ぶりが社会問題になっている。大幅増員して負担を減らせればいいが、財政事情は厳しく、到底期待できない。

 そんな難題に対する一つの答えが、教科担任制といえる。

 専門の先生に教えてもらえるのは子どもたちも歓迎だろう。典型は英語だ。来年度から必修になるが、小学校の教員の多くは指導法を学んできていない。中学の力を借りられれば人材不足の解消につながる。理数系科目の指導も同様だ。小学校の教員就職者は8割が文科系の教育専攻で、苦手意識をもつ人が多いといわれてきた。

 小学校の学級担任の忙しさは改めて指摘するまでもない。給食の時間も子どもを見守る仕事がある。他の先生が引き受けてくれる教科が増えれば、心身に余裕が生まれるだろう。

 ただし良いことずくめではない。予想される負の側面にも目を向けなければならない。

 例えば、他教科の内容と関連づけて指導する横断的な授業はしにくくなる。終日顔をあわせなくなることで、子の異変に気づくのが遅れるリスクも考えられる。いじめなどの発見に支障を来さぬよう、教員同士の連携を密にするとともに、放課後に遊びや生活の場を提供する学童保育やNPOとの協力関係についても議論するべきだ。

 必要な数の先生を確保できるのか。校舎は小中一緒の方が便利だが、そうした環境がない場合はどうするか。学校の統廃合に踏みきるとしたら、通学の足をどうやって確保するか。

 そうした状況は自治体によってさまざまで、解決しなければならない課題もおのずと違う。地域の事情に応じて適切な措置がとれるよう、中教審には目配りのきいた検討を求めたい。

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