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 政府がむき出しの力で抑えつけようとしても、決して屈しないし、あきらめない。県民のそんな思いが改めて示された。

 注目の衆院沖縄3区補選は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対をかかげる屋良朝博(やらともひろ)氏が、安倍政権が推した元沖縄北方相・島尻安伊子氏を破って当選した。

 昨秋の知事選で、政権側の候補は移設の是非を語らない「辺野古隠し」に徹し、批判を浴びた。島尻氏は今回、普天間の危険性を取り除くためだとして容認姿勢を明確にしたうえで、経済振興策などを訴えた。だが有権者には届かなかった。

 当然の結果ではないか。

 2月の県民投票では、辺野古の海の埋め立てに反対する票が7割以上を占めた。しかし政権は一顧だにせず、3月下旬には新たな海域への土砂投入を始めた。3区の有権者を対象に朝日新聞などが実施した世論調査では、68%が政権の姿勢を「評価しない」と回答。参院選を前にした重要な補選だというのに、首相は応援のために現地に入ることすらできなかった。

 いったい政権は、この問題にどんな展望を持っているのか。

 埋め立て予定海域に軟弱地盤が広がっていることが明らかになった。工事は可能なのか。完成はいつで、事業費はどこまで膨らむのか。政権は具体的な説明をほとんどしていない。はっきりしているのは、当面できる作業を急ぎ、既成事実を積み上げるのに躍起な姿だけだ。

 民意と政権の乖離(かいり)が目立つのは辺野古だけではない。

 沖縄3区には名護市や沖縄市などのほか、米軍北部訓練場を抱える地域も含まれる。16年末に同訓練場の半分にあたる約4千ヘクタールの土地が返還された。

 政権はその成果をアピールするが、返還の条件として建設されたヘリコプター着陸帯近くの住民は、激しい騒音や事故の不安に悩まされている。普天間と辺野古の関係と同じで、たらい回しでは真の負担軽減にはならないことを、県民は間近な例を通して熟知している。

 玉城デニー知事は就任以来、政府に対し、工事を一時やめて話し合うよう繰り返し求めてきた。だが、かたくなな姿勢は変わらず、今月10日に普天間飛行場の地元宜野湾市長も交えて2年9カ月ぶりに開かれた「負担軽減推進会議」でも、大きな進展は見られなかった。

 補選で当選した屋良氏は、記者や研究者として基地問題に取り組み、米海兵隊の運用見直しや普天間の機能分散を提案してきた。政府はそうした見解にも誠実に耳を傾け、今度こそ「辺野古が唯一」の思考停止状態から脱しなければならない。

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