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 南海トラフ地震の可能性が高まったとして「臨時情報」が出たとき、自治体や企業はどう対応すべきか――。あらかじめその計画を策定しておくよう政府は促し、参考となる情報や考え方をまとめた「ガイドライン」を、先ごろ公表した。

 ただし、示されているのは大まかな方向性だけで、詳しくは地域の事情を踏まえて独自に考える必要がある。国と現場の双方で、引き続き詰めるべき点を詰め、充実した内容にしていくことが欠かせない。

 東海沖から九州沖を震源域にマグニチュード8~9の巨大地震が襲うという南海トラフ地震は、30年以内の発生確率が70~80%と予想されている。

 ガイドラインは、昨年末の中央防災会議の作業部会の報告を受けて、紀伊半島の東西いずれかの側が揺れる「半割れ」や、それより狭い地域で地震が起きる「一部割れ」などのケースを提示。それぞれに応じた防災対応をとるとしている。被災のおそれがある市町村は707に及び、今年度中に避難先などを定めることになっている。

 特に重要なのは、事前避難のあり方だ。

 ガイドラインは、「半割れ」の際、揺れなかった側でも続いて大地震が発生する可能性があり、津波による浸水の恐れがある地区では1週間程度の事前避難が必要だとしている。海岸沿いの集落などが対象となるが、広範囲に指定すればいいという話ではない。高台から遠い、避難経路が限られるなど、きめ細かな検討が求められる。

 高齢者が多い地区はどこか。どれだけの人に、どのような支援がいるか。そうした点検作業は、日ごろの防災強化にもつながる。ガイドラインには詳しく書かれていないが、地震による土砂災害が心配される地区の対策も、計画に加えるべきだ。

 内閣府は今月から自治体向けの説明会を開いている。質問が相次ぐのは避難所の運営経費の問題だ。災害救助法を適用して国が負担する方向だというが、市町村が実効性のある計画を立てるためにも、早急に結論を出してもらいたい。

 忘れてならないのは、大地震は突然起きるということ。そして臨時情報が出ても、まず優先すべきは被災した地域の救助・支援活動だということだ。

 無事な地域まで経済活動を止めてしまっては、必要なサポートはできなくなる。警戒しながらも社会総体としては「日常」を維持する。人やモノが集積・交差する拠点の役割が期待される市町村もあるだろう。

 平時からの備えがないと非常時には対応できない。改めて、そう胸に刻みたい。

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