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 日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が先週、ワシントンで開かれ、サイバーや宇宙での新たな協力で一致した。安全保障上の重要性を増している新領域に、日米同盟の強化を拡大するものだ。

 発表された共同文書には、日本に対するサイバー攻撃に、米国による日本防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用がありうることが明記された。日本の人工衛星に、宇宙ゴミを監視する米国の機器を載せることでも合意した。

 5条適用は日本へのサイバー攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めるとして、日本政府は歓迎する。しかし、どんな場合が該当するのかについては「日米間の緊密な協議を通じて個別具体的に判断される」としただけで、明確ではない。

 そもそもサイバー空間で、攻撃主体が個人か、テロ組織か、国家かを特定するのは難しい。どのような攻撃を「武力攻撃」と認定し、どんな反撃が認められるかもはっきりしない。

 政府は昨年末に決めた防衛計画の大綱で、サイバーなどの新領域で優位性を獲得することが「死活的に重要」として、サイバー防衛能力の抜本的な強化などを盛り込んだ。

 だが憲法9条の下、専守防衛の原則や国内法との整合性はどうなるのか。自衛隊はどのような根拠や基準に従って、どんな対応をとるのか。国内論議は遅々として進んでいない。日米の協力強化のかけ声のみが先行するのは危うい。

 サイバー攻撃を受けた日本を米国が守るというのなら、逆のケースで、日本が米国に協力を求められることもありえよう。安全保障関連法で集団的自衛権の行使を認めた存立危機事態の定義は曖昧(あいまい)なままだ。米国への深刻なサイバー攻撃が存立危機事態と認定される可能性も否定できない。

 軍事技術をめぐる覇権争いは熾烈(しれつ)さを増している。日本は大国間の競争をあおることなく、世界の平和と安定に資する国際ルールづくりを主導すべきだ。懸念を共有する欧州やアジアの国々と連携し、中国やロシアとも率直に意見を交わしながら、共通の理解を広げたい。

 今回の2プラス2では、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Aの墜落事故について突っ込んだ議論はなかったようだ。トランプ大統領が迫る駐留米軍経費の大幅増に異を唱えることもなく、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題も「辺野古が唯一」を確認するだけだった。

 同盟の拡大志向を強めるばかりで、正面から議論すべきテーマを避けていては、安定した日米関係は望めない。

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