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 「駅前の屋外喫煙所の煙を吸わされる。健康への影響が心配です」。非喫煙者の男性から投稿があった。子どもへの影響を気にする親もいる。一方で「気にしすぎ」という声も。屋内の受動喫煙対策に注目が集まるが、屋外はどう考えればいいのか。

 投稿した50代の男性会社員は大阪北部のベッドタウン、大阪府高槻市のJR高槻駅を通勤で使う。毎日歩く通路の高架下に塀で囲っただけの屋外喫煙所があり、たばこのにおいで「毎朝、苦痛です」と話す。神戸市のJR三ノ宮駅前の屋外喫煙所にも行ってみた。20人ほどがたばこを吸うその横を30代の女性がベビーカーを押して猛ダッシュ。「子どもに煙を吸わせたくない」

 だが、喫煙所の利用者からは「空気で薄められるのに」「吸う場所がなくなる」と悲鳴もあがる。

 他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙。屋外喫煙所の煙は健康に影響があるのか。日本たばこ産業(JT)大阪支社の担当者は、英国の医学誌の研究論文などを根拠に「(屋外喫煙所からの煙と)非喫煙者の疾病との関連性は確認されていない。(屋内の喫煙についても)因果関係は完全には証明されていない」と説明する。一方で「吸う人にも吸わない人にも心地よい環境を守るため、分煙に力を入れている」という。2004年から自治体や企業の屋内外の喫煙所のコンサルティングなどをし、その件数は年3千件を超えるという。

 ■25メートル先でも、高濃度微粒子

 受動喫煙に詳しい産業医科大学(北九州市)の大和浩教授に尋ねてみると、「受動喫煙は肺がんや心筋梗塞(こうそく)などのリスクを高める」と話す。大和教授の実験では、屋外喫煙所から25メートル離れた風下の地点でも、たばこの煙に含まれる微粒子(PM2・5)を高濃度で検出した。近いほどさらに濃度が高く健康への悪影響が懸念されるという。

 国はどういう立場なのか。厚生労働省によると、屋外は日々条件が変わり、長期間のデータが得にくいというが、「JTの『受動喫煙の健康影響は必ずしも科学的に明らかになっていないので、受動喫煙は迷惑・気配り・マナーの問題』という主張は承知しているが、採用できない。国際的な状況を見ても、受動喫煙は他者の健康に悪影響があるという前提で対策をとる」と話す。

 ■自治体任せ、対応ばらつき

 屋外喫煙所の設置は自治体に任され、対応にはばらつきがあった。投稿者が住む高槻市は「ポイ捨てと歩きたばこをなくす」ため、JTの全額負担で駅前に屋外喫煙所を設置。一方、東京都立川市は、受動喫煙対策として、JR立川駅の半径250メートルの市設置の屋外喫煙所を全て撤去した。

 京都府亀岡市は1月にJR亀岡駅などの周辺を路上喫煙禁止区域にし、スタンド型灰皿を撤去。煙が漏れにくいタイプの屋外喫煙所の設置を決めた。「ポイ捨て防止から受動喫煙防止のための施設だと発想を切り替えた」と市は話す。ただ、整備予算の400万円に「高すぎる」との批判がある。市は「吸う、吸わない、両方の市民の意見はどうすれば両立できるか。正直、国が決めてくれた方が楽です」と漏らす。

 昨年成立した改正健康増進法は、学校や病院などは、屋外も含め原則敷地内禁煙とした。駅前などの屋外も、喫煙時に周囲の状況に配慮するよう定めた。厚労省は昨年、屋外喫煙所を作る際に煙が容易に漏れないように配慮するための仕様などを全国に通知した。対策された喫煙所を自治体が設置する場合、整備費用(最大250万円まで)を特別交付税で措置する。

 厚労省は「リスクを承知して喫煙する自由は保障されている」としたうえで、「改正法が全面施行される来年以降、施設の更新時期に合わせ、屋外喫煙所も改善されるのではないか」と説明した。(高橋大作)

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