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 「一帯一路」と名付けられた巨大な開発構想が進められている。中国が掲げるシルクロード経済圏構想である。

 アジアと共に今や欧州、アフリカ、南米にも対象を広げた。中国の説明では、126カ国と協力文書を交わしたという。

 世界規模となった構想について、中国はどのような姿勢で臨むのか。習近平(シーチンピン)国家主席は各国首脳らを北京に招いた会合で、「質の高い発展」をめざすとの基本方針を示した。

 この構想には、各国が期待を寄せる一方、懸念も出ている。インフラ投資で、途上国を債務の返済不能に陥れるようなケースがあるためだ。

 習氏は、各国の持続可能な成長の後押しをめざす考えを強調した。事実上、軌道修正の表明であり、ぜひとも言行一致を求めたい。

 中国が各地での開発に資金や技術を提供し、協力を進めていくことは評価すべきだ。世界第2の経済大国としての責任を果たすものでもあろう。

 米国が通商の保護主義に傾くなど内向きになるなか、中国が国際社会で活発な経済交流を広げる意味は小さくない。

 問題なのは、この構想が中国の強引な対外拡張路線の動きと重なって見えることだ。

 中国は巨大な経済力を背景にして、自らの意に沿わない政策をとった国に事実上の経済制裁を何度もとってきた。

 習氏は「国際ルールに従う」と語っているが、それは今後の行動を見るしかない。この構想を覇権の道具にするようなことはあってはならない。

 南アジアでの港湾建設をめぐっては、軍事的な進出の足がかりにしようとしているのではないかとの懸念も強い。

 地域の安全保障のバランスを崩すような行為をすれば、経済開発も滞る。それは中国を含め、どの国にも利益とならないことを自覚すべきだ。

 日本にとって、中国と第三国で開発協力ができるようになれば、経済的な機会が広がるだけでなく、日中関係の進展に寄与するだろう。安倍政権は慎重姿勢だが、中国側は米中対立を受け、これまで以上に日本の構想参加を求めている。

 途上国側には、日本の関与を望む声がある。開発プロジェクトの透明性が高まり、中国の強権的な行為を抑えるような役割を果たしてくれるのでは、との期待である。

 日米が主導するアジア開発銀行は、中国が設けたアジアインフラ投資銀行との協調融資を進めている。日本も中国との協働を通じて、主体的に影響力を発揮できないか。新たな可能性を模索するべきだ。

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