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 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の総会が、きのう京都で始まった。国内での開催は、5年前の横浜に続いて2回目である。

 各国が温室効果ガスの排出量と吸収量の計算に使うガイドライン「方法論報告書」の改訂を話し合う。地球温暖化対策の国際ルール・パリ協定の下で、公平・公正に排出削減に取り組むのに欠かせないものだ。

 日本は20年前から、この分野の技術支援の事務局を担ってきた。最新の科学を反映した改訂版をとりまとめてもらいたい。

 IPCCは、世界気象機関と国連環境計画が1988年に設立した科学者のネットワークである。195の国と地域が参加しており、気候変動をめぐる各種の科学的な報告書をまとめてきたことで知られる。

 たとえば、気候変動を総合分析した「評価報告書」の最新版は、温暖化は人間活動によって起きている可能性がきわめて高いことを指摘し、パリ協定合意への機運を高めた。

 また、昨年10月の「1・5度特別報告書」は、産業革命以降の気温上昇を1・5度未満に抑えないと異常気象や自然災害が深刻化すると警鐘を鳴らした。これを受けて国際社会では、よりいっそうの温室効果ガス削減を急がねばならない、という認識が広がりつつある。

 IPCCの科学的な助言によって、世界の温暖化対策が前に進んできたといえる。

 今回、京都で改訂について議論される方法論報告書も、パリ協定の着実な実施を縁の下で支えるものである。

 現行の06年版から10年以上たち、新たな技術や科学的な知見が増えた。温室効果ガスを観測する日本の衛星いぶき2号のデータを使えるようになったのはその一例だ。水素の製造や石炭の試掘にともなう温室効果ガスの排出など、現行版ではカバーできていない分野を算入する必要もある。

 これらを今回の改訂で盛り込み、より正確な排出・吸収量を把握しなければならない。

 改訂版に移行するには、パリ協定の締約国会合で合意する必要がある。京都で議論をまとめた後、各国は早期の合意をめざしてもらいたい。

 途上国の中には、改訂版を使うことに抵抗感をもつ国もある。現行版に比べ、排出・吸収量の計算の手間がかかることも一因だという。先進国は、最新の科学で正確な実態をつかむ重要性を粘り強く説明するとともに、技術面などで途上国への支援に努めてほしい。

 共通のガイドラインの下、各国が信頼しあって努力することが温暖化対策の要である。

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