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 茨城県高萩市で中学3年の女子卓球部員が命を絶った。

 顧問の教員は、やる気がなさそうに見えた生徒らに「馬鹿野郎」「殺すぞ」と暴言を吐いたり、肩をこづくなどの暴行を加えたりしていた。亡くなった生徒はそう書き残し、昨秋の学校のアンケートに「練習時間が長い」とも訴えていたという。

 自殺との因果関係は、近く設けられる第三者機関の調査を待つ必要がある。だが市教育委員会によると、「不適切な指導」をしていたことは教員も認めている。部全体の被害実態を調べて、ケアに努めるべきだ。また今年3月には教委に匿名の通報が寄せられていた。その時の対応の当否も問われよう。

 これを機に、改めて部活動のあり方を議論したい。暴力的な指導や長時間の練習などの「ブラック部活」は、この学校だけの問題ではないはずだ。

 17年度の政府の調査に、中学の11%が休養日を「設けていない」と答えている。部活が教員の重い負担になっているとの認識が共有され、改善途上にあるが、子どもの生活や健康の観点からも是正が急がれる。

 公立中の3割が部活を「原則全員参加」としている。学習指導要領は「自主的・自発的な参加」と位置づけるが、事実上の強制が横行していると見ざるを得ない。中高の教員が暴力をふるう場面は「授業中」に次いで「部活中」が多く、3割近くを占めるというデータもある。

 学校現場では長らく、部活は非行防止など生徒指導の一環とみなされてきた。家庭の側にも「学校にいてくれると安心」との意識があり、進学時の内申が気になって部活をやめられないとの声も聞かれる。それらが、行き過ぎた指導にも異を唱えにくい土壌を作っている。

 部活への参加は自由で、しなくても不利に扱わない――。文部科学省と各教委は、まずこの原則を周知徹底すべきだ。

 女子生徒が所属していた部は全国大会への出場経験もある強豪だった。思い出すのは、7年前、スポーツに力を入れていた大阪市立桜宮高で、指導者の暴力が原因で運動部の主将が自殺した事件だ。外部監察チームは「教育の一環」と称して暴力を正当化する病理を指摘した。勝つためには厳しい指導も許される。今回もそんな空気はなかったか、検証が必要だ。

 必要なのは脅しや力ずくでなく、合理的な練習で力を向上させる指導方法を身につけ、普及させることだ。それは文化系の部活にもあてはまる。

 生徒が助けを求められる場を校外に用意することも大切だ。それぞれの地域でSOSに即応できる態勢を整えてほしい。

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