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 この1年あまり、北朝鮮が見せてきた変化への期待が、一気にしぼみかねない。使い古された軍事的挑発を繰り返すなら、再び孤立に戻るだけだ。

 北朝鮮から9日に発射されたのは、複数の短距離弾道ミサイルだった。米国防総省が分析した結果として発表した。

 事実ならば、国連安保理決議に反する。4日にも弾道ミサイルを発射していた可能性がある。日米韓をはじめ国際社会は明確な警告を発するべきだ。

 弾道ミサイル発射はこの1年半なかった。今回の動きには、2月の米朝首脳会談で制裁の緩和が認められなかったことへの不満が絡んでいるようだ。

 米国を直接刺激しない規模にとどめつつ、軍事的な示威行動をとる。それにより、核放棄と制裁の完全解除の一括合意という、米側が設けた高いハードルを下げさせる狙いだろう。

 周辺国との対話が進んだとはいえ、身勝手な考えは相変わらずらしい。交渉の歯車を回すために挑発に走るようでは、制裁緩和の道はますます遠のき、念願の経済再建は実現しない。

 これまで金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長との友好を強調してきたトランプ米大統領も、今回ばかりは不快感を示した。

 前例のない米朝首脳間の蜜月は、北朝鮮が孤立を抜け出す千載一遇の機会をもたらした。しかし、北朝鮮は自ら冷や水をかける愚を犯そうとしている。

 国連の機関は、北朝鮮の食糧事情が過去10年で最悪だとして支援を呼びかけた。そんな苦境をやわらげられるのは、国際社会が求める核放棄しかないことを悟るべきだろう。

 一方、日米韓の各政府による対応にも、首をかしげる点がある。4日の発射以来、ことさら事態を重くとらえないような言動が目立った。

 韓国では早くから、南北首脳による昨年の軍事分野合意に反するとの指摘があった。それでも文在寅(ムンジェイン)政権は、合意の「趣旨にそぐわない」との表現で、あいまいな評価にとどめている。

 日米韓が堅持する北朝鮮政策の柱の一つはいまも、安保理決議の完全履行であるはずだ。弾道ミサイルの発射を座視するようでは、制裁態勢を維持する根拠も揺らぎかねない。

 むろん、問題の解決をめざす手段としては、これからも対話を基軸とする姿勢は変えてはならない。だとしても、北朝鮮の横暴には筋を通して厳格に対処すべきだろう。

 いまの日米韓では、国内政治の思惑もこめて政権幹部が北朝鮮政策を語る動きが目につく。朝鮮半島の安定と和平という目標を、近視眼的に取り扱うようなことは慎まねばならない。

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