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 またも高関税を掛け合う泥沼に突き進めば、米中両国はもちろん、世界の経済を揺るがすことになる。対立を鎮める道を見いださねばならない。

 米国は中国からの輸入品にかけている制裁関税で、第3弾の計2千億ドル(約22兆円)分について、税率を10%から25%に引き上げた。米中両国が打開策を探って通商協議を進めてきた4カ月間、封印してきた「奥の手」だ。

 産業補助金や知的財産権の侵害など、中国の政治体制の根幹にかかわる問題で折り合えず、しびれを切らしたのだろう。トランプ米大統領はツイッターで「関税は私たちの国を弱くするのではなく、はるかに強くするだろう」と述べた。

 米国は、残るすべての中国からの輸入品を対象にした第4弾の関税上乗せについても、準備に入った。

 中国は具体策は示していないが、「必要な報復措置をとらざるを得ない」と主張する。

 救いは、両国が協議を打ち切らず、対話をつないだことだ。積み重ねてきた議論を進めることからしか、解決策は見えてこない。

 米国も中国も、相手に要求を突きつける前に、まずは自国の振る舞いを省みてほしい。合意への障害を、それぞれが取り除いていかねばならない。

 米国は、一方的な制裁措置を慎むべきだ。

 中国の改革が遅いという米国の主張は理にかなっており、日本や欧州も同調している。だからといって、国際ルールを無視するような行動が正当化されるわけではない。高圧的な姿勢は相手の譲歩を引き出すどころか態度を硬化させかねない。

 中国は、世界の理解を得られる解決策を、自ら打ち出すべきだ。「社会主義市場経済」という特殊な体制を維持したまま、大国として世界経済と調和を図るのは無理がある。米国に迫られるまでもなく、体質転換のための改革は欠かせない。

 協議の過程で広がった不信の溝を埋めるのは、容易ではないだろう。発動済みの制裁関税の扱いや、合意事項に違反したときの罰則規定など、両国の主張にはまだ開きがある。

 それでも、今後も協議を続ける環境が、致命的に損なわれたわけではない。中国側は、次の協議が北京で開かれることを明らかにした。トランプ氏は「習近平(シーチンピン)国家主席と私の関係は非常に強い。この先も対話は続くだろう」と、交渉を続ける姿勢を繰り返し示している。

 今回の制裁関税の適用は事実上、5月中は猶予される。この時間をいかし、合意をめざすべきだ。

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