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 景気が後退している可能性が一段と高まってきた。政府・日銀の慎重なかじ取りが求められる局面だ。

 昨日発表された3月の景気動向指数の基調判断は、6年2カ月ぶりに「悪化を示している」になった。前回、同様の判断になったのは2012年10月~13年1月で、事後的な正式判定では12年4~11月が景気後退期とされている。

 今回の景気の変調が目立ち始めたのは昨年秋からだ。中国向け輸出が急減し、外需に黄信号がともった。企業利益の伸びが頭打ちになり、直近では賃金も下落傾向を示し始めている。

 国際通貨基金(IMF)や日本銀行は、今年度後半から世界経済は復調するとの見通しを基本にしている。米国の利上げ休止や中国の景気対策の効果が出てくるとの判断だ。

 ただ、本当にそうなるのか、不確実性が高いことはIMFや日銀も認めている。外需が持ち直すまで、国内の投資や消費が持ちこたえられるかどうか、懸念は拭えない。

 もとより、景気に一定の循環は避けがたい。留意すべきは、拡張期が続く間に、投資の過熱や金融の不均衡がどれほど蓄積されていたかだ。

 過去6年間、景気回復の勢いはそれほど強くなかった。だが、中国向け液晶や半導体関連といった一部の輸出や、不動産向け融資などで「ひずみ」がたまっている領域がないか、改めて点検する必要がある。

 ひずみが少なく、景気後退の程度が小さいと想定された場合でも、油断は禁物だ。

 バブル崩壊後の日本経済は、緩やかとはいえ物価が下落するデフレが続き、雇用が悪化して賃上げが途絶える時代を経験した。いま、ようやくそうした状況を脱しかけているが、なお不安定だ。小さな傷でも、それをきっかけにデフレへの反転につながれば、ダメージは大きい。

 今後、そうした悪循環に進む懸念が高まった場合、歯止めをかけ、景気を安定させるのは、政府・日銀の務めだ。

 まずは、変調の根源になっている米中摩擦の緩和に注力し、世界経済の不透明感を減らさねばならない。金融・財政政策面では余力に限りがあるが、内需下支えのために打てる効果的な施策がないか、慎重に検討を進めてほしい。

 民間企業の対応も重要だ。外需の短期的な先行きは注意深く見極めるべきだが、弱気心理に流されて投資や賃金を抑制すれば、自らの首を絞めかねない。なお高い利益水準を踏まえ、中長期の成長を生み出すような投資、賃金水準を保つことが望まれる。

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