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 スルガ銀行の不正の全容が明らかになった。資料を偽造するなどの不正やその疑いのある貸し出しが、融資残高全体の3割を占める1兆円にのぼっていたという。

 銀行は、社会的信用を業務の根幹に置く存在だ。その事業を担う組織としての適格性が強く疑われる。立て直しは容易ではないことを覚悟すべきだ。

 調査報告によると、スルガ銀の投資用不動産融資約3万8千件のうち約7800件で、書類を改ざん、偽造するといった不正が見つかった。不正発覚の発端になったシェアハウス向けが約900件。約6900件は中古1棟マンションなどそれ以外の案件だった。

 発覚当初、スルガ銀の旧経営陣は、問題はシェアハウスに限られるといった見方を示していた。しかし、実際には不正が幅広く行われていたわけだ。

 昨年の第三者委員会の調査では、法令や社会的な規範よりも毎期の営業成績を重視し、重いノルマや上司によるパワハラで行員を不正に追い込むといった構図が明らかになった。以降、コンプライアンス体制の再構築に向け、教育や研修の徹底、責任者や委員会の設置などを進めてきたという。

 コンプライアンスの徹底は当然であり、実効的な取り組みを急ぐ必要がある。一方で、収益の柱にした個人向け融資が不正を推進力にしていた以上、ビジネスモデルそのものも、根底から見直さねばならない。

 スルガ銀は新生銀行や家電量販大手のノジマとの業務提携を発表した。新生とは無担保ローンや事業承継などで連携、ノジマとはクレジットカード事業やオンラインサービスなどで協力するという。

 だが、いずれも具体策はこれからであり、どの程度経営立て直しに資するかは未知数だ。新生銀は金融危機時に注入された公的資金を完済しておらず、どこまでスルガ銀の「後ろ盾」になり得るのか、疑問も残る。

 18年度のスルガ銀の決算は、引当金の積み増しなどで、約970億円の純損失になった。受け入れている預金の残高も1年で9千億円余り減っている。シェアハウス向け以外の融資では延滞が少ないというが、景気動向次第では注意を要する。

 足元では預金の減少幅は縮小しており、自己資本にも余裕はある。だが、どのような銀行として再生するのかを示せなければ、ジリ貧になりかねない。創業家との関係の整理といった課題も未解決だ。

 金融庁は、スルガ銀を高収益モデルとしてきた過去の評価を率直に反省し、厳しい視線で監督を続ける必要がある。

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