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 6月から指定制に変わるふるさと納税は、スタートラインに立てない自治体が生まれる、いびつな姿になった。

 納税者は自分が住んでいない自治体を寄付の形で応援し、自治体は創意工夫で自主財源を増やす。そんな理念のもと、2008年度に始まった制度だ。

 実質2千円の負担で、寄付先の自治体が用意する様々なお礼の品をもらえるのが人気で、寄付額は近年ふくらんできた。しかし、自治体が多くの寄付を集めようとしてお得感を競う手法が問題となり、総務省が見直しを決めた。

 地方税法が改正され、返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限られる。納税者が税優遇を受けられるのは、総務省が指定した自治体への寄付だけだ。

 大阪府泉佐野市や静岡県小山町など4市町は、対象から外れた。北海道森町など43市町村も4カ月間の指定で、今後の取り組みによって改めて判断を受ける。総務省の求めに応じず、昨年11月以降も「制度の趣旨に反する方法」で返礼品を送り、多額の寄付金を集めた自治体へのペナルティーと言える。

 アマゾンのギフト券やiPadまで登場した返礼品競争を、和らげる効果はあるかもしれない。しかし返礼品が残る限り、お得感を競う風潮はなくならないだろう。

 そもそも寄付とは、見返りを求めないもののはずだ。「寄付額の3割以下」の返礼に法律でお墨付きを与えることの是非も、考えるべきではないか。

 制度が抱える問題点は多い。返礼品を選ぶ民間のポータルサイトへの手数料も含め、公的以外のものに貴重な税金がどれほど使われているのか、実態が見えない。所得の高い人ほど大きな税優遇を受け、自分が住んでいる自治体の税収を減らす矛盾も、放置されている。

 いまの制度ありきではなく、根本から考え直すべきだ。

 返礼品競争が過熱したのは、多くの自治体が財源不足に苦しんでいることの裏返しでもあった。都市と地方の間に生じる税収の差を、ふるさと納税で埋めることはできない。

 自治体は医療や子育て、介護、障害者福祉など、多くの社会保障サービスを担う。財源を中長期的にどうまかない、法人税や消費税など、どの税収からどの程度の割合を地方に回し、地方の中で配分していくのか。時代に合ったしくみを描いていかねばならない。

 議論は、国と地方が対等の立場から進める必要がある。批判のある返礼品競争を抑えるために、力ずくで地方を従わせるようなやり方では、真の地方自治を築くのは難しい。

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