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 在日米軍は、日本の法令や日本政府の要請を軽く見ていないか。そう思わざるをえない。

 長崎県の米海軍佐世保基地の警備にあたる日本人従業員が、上司の米兵の指示を受け、実弾が装填(そうてん)された拳銃を携行したまま基地外の公道を何度も歩いていたことが明らかになった。

 日米地位協定は、米軍人に対し、基地の外でも公務中の武器の携行を認めている。しかし、日本人従業員が認められるのは、米軍施設内のみとされる。今回の件は地位協定に違反するだけではなく、銃刀法にも違反する疑いがある。

 佐世保基地の日本人警備員は今月2~10日、向かいの関連施設に移動する際、幅約10メートルの市道を横断していた。

 わずか10メートルだからよい、とはならない。法令は遵守(じゅんしゅ)すべきだし、万が一、トラブルに巻き込まれたらどうなるのか。普段は銃を預けて移動していたというのだから、なおさらだ。

 さらに問題なのは、事前に情報を得た防衛省が在日米軍司令部に中止を求めたのに、銃携行を実施させ、その後の再三にわたる要請にもなかなか応じなかったことだ。

 在日米軍司令部は「指示が現場にうまく伝わらなかった。手順は訂正された」とコメントしたが、司令部の意向が現場に届かないとは、どういうことか。事実関係を明らかにするとともに、再発防止を徹底するよう強く求める。

 今回のような事例は初めてではない。08年には、沖縄県内の二つの米海兵隊基地の日本人警備員が、憲兵隊の指示を受け、実弾入りの拳銃を携行したまま基地間を車で移動していたことが明らかになっている。

 この時も米軍は、誤った指示だと判明したので撤回したと説明し、日本政府が再発防止を求めていた。今回、同様の事態が繰り返されたことを重く受け止めるべきだ。

 日本政府の要請が一顧だにされず、約束が空手形に終わるケースはめずらしくない。

 17年に沖縄県東村(ひがしそん)高江で起きた米軍の大型輸送ヘリの不時着・炎上事故では、当時の小野寺防衛相が原因究明と安全確認が済むまでの飛行停止を申し入れたが、あっさり再開された。

 日米合意などで制限されている夜間の飛行訓練も一向に改まらず、地域住民に深刻な被害をもたらしている。

 駐留する以上、日本側の求めに真摯(しんし)に向き合うのは当然ではないか。在日米軍に非があることは明らかだが、こうした実態を放置してきた日本政府の責任も重大だ。一つひとつの問題を見過ごさず、本気で是正を求める覚悟が問われている。

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