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 ホテルや旅館などの宿泊料に上乗せされる宿泊税の導入が、全国の自治体に広がっている。

 海外からも観光客が増え、自治体は各国語での案内や通信環境を整備している。道路の渋滞や騒音、ごみの放置などに直面する地域も多い。こうした経費の一部を、宿泊税という形で旅行者に負担してもらう考え方は、ありえるだろう。

 宿泊税は、地方税法で認められた法定外税で、地方自治体が税目や税率を定める。総務大臣の同意を得て、自治体の条例で設けることができる。

 2002年の東京都を皮切りに、17年に大阪府、18年に京都市、今年4月に金沢市が導入した。宿泊料に応じて1泊100~1千円をとっている。11月には、北海道倶知安町が宿泊料の2%の徴収を始める。

 福岡県や沖縄県、広島県では、有識者が入った委員会が導入を求める報告書をまとめ、宮城県も議論を始めた。奈良市や松江市なども検討している。

 自治体はどこも財政事情が厳しく、実現すれば貴重な独自財源となる。しかし、「取りやすいから」と安易に課税するのでは困る。どんな政策にいくら必要なのかを見極めたうえで、導入の是非や1泊あたりの金額を詰めるべきだ。

 使い道の決め方や使った後の検証の方法なども、実施する前によく議論してほしい。何に使うのか、住民や宿泊客にわかりやすく説明することも必要だ。一定の税収が見込めるからと、「何でもあり」となり、優先度の低い事業に支出することがないようにしたい。

 先行する東京都や大阪府は、観光の振興に必要な費用に充てるとしているが、使い道に具体的な制約はなく、一般財源に組み入れている。条例は、5年ごとに「施行の状況」を見ながら、制度のあり方を「検討」すると定めるが、政策効果をどう検証し、使い道の改善につなげていくかは決まっていない。

 20年にも宿泊税を始める予定の沖縄県は、税収を管理するための基金をつくろうとしている。特定の業界に恩恵が偏らないよう、使い道は第三者も入る委員会で決めるという。

 検討する自治体が増えるにつれ、「二重課税」の問題も浮上している。福岡県と福岡市がともに導入をめざすほか、沖縄県でも恩納村の審議会が、宿泊料の2%を徴収する観光目的税の創設を答申した。

 それぞれが課税しても法的に問題はないが、似た政策が重複するだけなら、意味がない。宿泊税を考える都道府県と市町村は、観光政策におけるお互いの役割を、事前によく調整してほしい。

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