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 石炭火力発電所の環境アセスメントに厳しい姿勢で臨む方針を、環境省が決めた。二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する道筋を描けない場合、新増設計画の中止を求める。

 この発表の後、山口県で計画中の石炭火力から大阪ガスが撤退を表明したり、三菱UFJフィナンシャル・グループが新設の石炭火力に融資しない原則を決めたりした。脱石炭を確かなものにしなければならない。

 石炭火力は、最新鋭のものでも天然ガス火力の2倍のCO2を出す。厳しい地球温暖化対策が求められているいま、新増設に歯止めをかけるのは当然だ。発電所の許認可権を握る経済産業省は、環境省と足並みをそろえてもらいたい。

 すでにアセスがすんだ案件についても考える必要がある。

 福島の原発事故の後、石炭火力の新増設計画が相次ぎ、環境NGOの気候ネットワークによると25基の計画が残っている。ほとんどがアセスの手続きを終え、事業者が断念しない限り動き出すことになる。

 事業者が石炭火力に頼るのはコストが安いからだ。転換を促すには、炭素税や排出量取引のようなカーボンプライシングを本格的に導入し、CO2排出に伴う社会的コストを価格に反映させる仕組みが欠かせない。

 気がかりなのは、CO2を回収して地下にためるCCSや、回収したCO2を有効利用するCCUについて、環境省が実用化を急ぐとしている点だ。

 CCSやCCUは各国が以前から研究開発してきたが、コスト高などの課題を克服できないでいる。実現性が不確かな技術をあてにして石炭火力を使い続けるようでは、温暖化対策の国際ルール・パリ協定の高い目標の達成はおぼつかない。

 すでに多くの国が脱石炭へ進み始めている。英仏伊やカナダなどは2020年代から30年にかけて石炭火力を全廃する。ドイツも脱石炭にかじを切りつつある。自然エネルギー財団によると、経済協力開発機構(OECD)の加盟36カ国のうち、20カ国が石炭火力の縮小を検討したり全廃したりする方針だ。

 日本は現在、石炭火力が電源構成の30%以上を占め、30年でも26%を見込む。東南アジアへの輸出もあり、脱石炭に後ろ向きだと国際的に評判が悪い。

 政府は先月、「今世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会の実現をめざす」という温暖化対策の長期戦略案を示した。石炭火力の全廃方針は産業界の反対で盛り込まれていないが、新増設をやめ、既存施設も減らしていく必要がある。

 石炭に頼らぬエネルギー政策に踏み出さねばならない。

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