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 国民の前で各党が論戦を尽くし、政策や理念を訴える。そんな言論の府のあるべき姿から、いまの国会はほど遠い。その要因は、衆参で圧倒的多数を占める与党のおごりにある。

 象徴的なのが「休業」状態が続く予算委員会だ。

 予算案の審議だけでなく、広く国政全般をめぐる質疑が行われる予算委は、首相や閣僚が出席しテレビ中継されることも多い。行政府をチェックする重要な舞台だが、もう衆院で84日間、参院で58日間も開かれていない。このまま会期末の6月26日を迎えれば、開催日数は過去10年の通常国会で最少となる。

 野党は何度も開催を申し入れている。参院では先月、野党が委員3分の1以上による「開会要求書」を自民党の金子原二郎委員長に提出した。国会の規則は、この要求があれば「委員長は委員会を開かなければならない」と定めている。たなざらしは到底許されない。

 議員数が規則の規定に足りない衆院でも野党は開催を求めているが、自民党の野田聖子委員長は応じていない。

 安倍政権はかつて、憲法に基づく野党の臨時国会召集要求を無視したことがある。施政が長期に及び権力の集中が進むが、国会ですすんで説明責任を果たそうという姿勢は見られない。

 米中対立の影響が懸念される経済の先行き、前提条件なしに首脳会談を目指すことになった日朝関係……。安倍首相には、きちんと国民に対して説明してもらいたいテーマが目白押しだ。行政への信頼を失墜させた森友・加計問題の解明もいまだ終わっていない。

 参院選を控え、論戦での失点を避けたい政権与党の思惑は明らかだ。内閣提出法案を最小限に絞り、野党との激しい対立が見込まれるものは見送った。

 党首討論も今国会ではいまだ実現せず、開催は会期末近くまでずれこみそう。各委員会での審議は粛々と進むが、国会全体のムードは低調だ。

 堅調な支持率を背景に、首相が参院選に合わせて衆院を解散し、衆参同日選に踏み切るのではないかという観測が広がっている影響も大きい。議員が浮足立ち、審議に集中できない様子がうかがえる。

 衆院議員は本来、公約実現のために4年の任期をまっとうするのが筋である。まだ2年以上の任期を残しながら、党利党略で解散風をあおる政権与党幹部の姿勢は目に余る。国会をないがしろにするものと言わざるを得ない。

 風に振り回されず、腰を落ち着けて審議に臨む。国会議員は与野党を問わず、国民の負託に応えることを最優先すべきだ。

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