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 安倍首相とトランプ米大統領がきのう、神奈川県の海上自衛隊横須賀基地で護衛艦かがに搭乗し、日米の隊員約500人に訓示を行った。

 米大統領が海自の艦艇に乗るのも、日米の首脳がそろって自衛隊・米軍を激励するのも初めてのことだ。日米同盟の結束をアピールし、中国を牽制(けんせい)する狙いがあるのだろう。

 ヘリコプター搭載護衛艦のかがは、空母への改修が予定されている。トランプ氏は「この地域だけでなく、それをはるかに超えて、複雑な脅威から守れるようになる」と述べた。

 歴代内閣が否定してきた攻撃型空母の保有は、専守防衛の原則を逸脱する。かがは既に南シナ海やインド洋に派遣され、米軍などとの共同訓練を実施している。空母化されれば、インド太平洋全域で米軍との連携がなし崩しに拡大するに違いない。

 かがに搭載されるのが米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bだ。F35はまず42機の導入が決まり、約1兆2千億円かけて105機を追加する。トランプ氏は訓示の中で、この購入計画に触れ、「日本は同盟国の中でも最も多い数のF35を持つことになる」と歓迎した。

 ただ、青森県の航空自衛隊三沢基地所属のF35Aの墜落事故の原因はいまだ解明されていない。トランプ氏の歓心を買おうと、何もなかったかのように調達を進めるわけにはいかない。

 「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」に呼応する動きのなかで、本当に日本防衛に効果的か疑わしいのが、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」だ。

 トランプ氏の来日と機を同じくして、原田憲治防衛副大臣が配備候補地の秋田、山口両県を訪ね、住民から不安の声が出ているレーダー波の人体への影響はないとした調査結果などを伝え、理解を求めた。

 だが、陸上イージスの導入には数千億円にのぼる巨額の投資が必要になる。厳しい財政事情の下、費用対効果の面からも、導入の是非を再考すべきだと社説は主張してきた。

 地元の理解を得たというにはほど遠い。候補地に隣接する山口県阿武町では、反対する住民団体に有権者の約55%が加入した。防衛省はテロへの警備方針は示したが、有事に真っ先に攻撃対象になるという住民の不安には応えていない。

 首相が言う「日米の絆」は兵器購入が取り持つ関係なのか。

 今回の首脳会談では、沖縄の基地負担の軽減が、ほとんど話題にならなかったという。同盟を重視する一方、それを支える地域住民の意向を軽んじる政権の姿勢を象徴している。

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