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 受動喫煙の防止を目的とする改正健康増進法の全面施行まで1年を切った。まずこの7月に学校や病院、行政機関が原則として敷地内禁煙となり、続いて来年4月から飲食店や職場などでの規制が始まる。

 もとは今秋のラグビーW杯前の実施をめざしたが、自民党内の調整が難航し、法の成立が大幅に遅れた。結果として東京五輪直前の施行となる。混乱を招かないよう、早め早めの周知と準備に努めたい。

 もっとも改正法には欠陥がある。個人や中小企業が営む既存の小規模飲食店が、規制対象から外れてしまったのだ。多くの人が利用する場所であり、すみやかな見直しが必要だ。

 救いは、法の不備を補おうとする自治体独自の取り組みだ。

 東京都では、経営規模などにかかわらず、従業員のいる店では喫煙室以外を禁煙とする条例が来春施行される。千葉市も同旨の条例を制定した。たばこ規制枠組み条約が求める「屋内全面禁煙」には届かないものの、前進であるのは間違いない。

 愛知県豊橋市は、国の対策では別扱いになった加熱式たばこを、紙巻きたばこと同様とする条例を設けた。加熱式でも、吸った人が吐く息に有毒物質が含まれるとの報告がある。「公の場所での使用は認められない」とする学会の見解を踏まえ、今回の措置に踏みきった。

 民間の動きも見逃せない。ファミリーレストランを展開する「すかいらーくホールディングス」は9月から、グループの全3千店余の敷地を全面禁煙にする。いまある喫煙ブースは、おむつ交換や授乳に利用できるスペースに改装するという。

 ただし、吸える場所をなくしてもなお課題は残る。

 ある大学が敷地内を禁煙にしたところ、校門付近や路上でたばこを吸う人が増え、住民から苦情が寄せられた。こうしたトラブルを防ぐため、改正法で認められている「人が通常立ち入らない場所」に、わざわざ喫煙所を新設した大学もある。

 京都府亀岡市では駅周辺での路上喫煙を禁止する代わりに、煙が漏れにくいタイプの喫煙所をつくる方針を決めた。ところが、その費用として計上された400万円の予算額をめぐって賛否が巻きおこった。

 たばこをやめたい人をサポートしつつ、受動喫煙による健康被害をなくすためのコストを、誰が、どう負担するのか。喫煙者は採用しないという企業や大学もある。「喫煙の自由」をどうとらえ、どこまでの介入ならば許されると考えるか。

 きょうから禁煙週間が始まる。議論を深め、社会の合意点を見いだしていく必要がある。

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