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 だれのものか分からない土地が増え続けるのを防ぐため、何ができるのか。政府が新たな対策の検討を進めている。問題は複雑なだけに、専門家の知恵も集めながら、効果的な手立てを練らなければならない。

 所有者が分からない土地の増加は、荒れたまま放置されて近隣に迷惑をかけたり、公共事業の用地取得を妨げたりするなど、社会問題になっている。このため近年、行政機関が所有者を特定する作業の負担を軽くする、公共目的での利用・管理をしやすくする、といった対応がとられてきた。

 しかし今のままでは、亡くなる人が増えるにつれ、所有者不明の土地も増え続ける恐れが強い。2040年には北海道の面積に迫る720万ヘクタールに達するという推計もある。すでに発生したケースへの対処だけでなく、新たな発生を防ぎ、解消につなげていくことが肝要だ。

 法務省の審議会で検討されているのが、相続に伴う不動産登記の義務化と、土地の所有権放棄の制度化だ。ともに国民の権利と義務、個人と社会の負担がからむテーマで、丁寧な議論が求められる。

 所有者不明の土地が生まれる大きな要因は、土地の相続時に所有権の移転を登記しない人が少なくないことだ。登記の義務化は発生防止策の柱となりえる。義務をきちんと果たしてもらうには、当事者の負担への配慮も必要になる。登記にかかる税金の軽減や手続きの簡素化なども考えるべきだ。

 同時に遺産分割などが円滑に進むよう、相続手続きの見直しも検討する必要がある。

 一方、所有権放棄の案は、地方で過疎化や地価低迷が続き、個人の手に余る土地が増えている現実を踏まえたものだ。

 ただ、これを認めると、管理責任や納税義務の放棄に直結する。所有者の不当な負担逃れと社会的な負担増を避けるため、どんな場合に放棄できるのか、条件をつけて対象を絞ることなどが欠かせない。専門家からは、手放したい人に一定の管理費用を負担させる、自力で売却できない土地などに限る、といった意見が出ている。

 放棄された土地の受け皿も大きな課題だ。国や市町村、公的な専門機関などが想定されている。地域にとって適切な管理や有効活用につながり、コストも抑えた仕組みをつくれるかが問われる。

 国土を形づくる土地は、個人の財産であっても、公共性を帯びている。社会情勢や国民の意識の変化を見据えて、土地の利用や管理全般について議論を深め、幅広い理解を得られるあり方を探ることが大切だ。

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