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 青森県の航空自衛隊三沢基地に所属する米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが4月上旬、夜間訓練中に太平洋上に墜落した事故で、防衛省が調査結果を公表した。

 操縦士が平衡感覚を失う「空間識失調(くうかんしきしっちょう)」に陥った可能性が高く、機体に異常があった可能性は極めて低いとしている。訓練の徹底や、機体の特別点検を実施したうえで、同型機の飛行を再開させる方針だ。

 確かに、空間識失調の可能性はあるだろう。夜間や雲の中で上下の感覚などが狂う現象で、操縦士がそれを自覚できないケースも多い。

 だが、あくまで「推定」である。隊員の命にかかわる問題であり、拙速な飛行再開は避けるべきだ。

 飛行情報を記録したフライトレコーダーは回収できず、操縦士も亡くなって事情は聴けなかった。分析は、一緒に訓練していた他の機体や地上レーダーの記録、操縦士との交信記録によって行わざるを得なかった。

 調査結果によると、事故機は近くにいた米軍機への接近を避けるため、管制官からの指示で降下を始めた。機体の姿勢の回復や緊急脱出を試みた形跡はなかった。自覚のないまま、ほぼ垂直に急降下して海に突っ込んだとしている。

 墜落を回避する装置や警報は作動しなかったのか。大量のデータがデジタル表示される最新鋭機の特性が空間識失調への対応を遅らせた可能性はないか。事故の再発を防ぐため、さらなる検証が必要だ。

 空間識失調は、昨年6月に米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が沖縄本島沖に墜落した事故や、一昨年10月に空自ヘリが静岡県浜松市沖で墜落した事故でも、その一因とされた。今回、再発防止策として、疑似体験装置を用いた訓練や教育を行うというが、十分な対策と言えるのか疑問が残る。

 F35は米ロッキード・マーチン社製で、事故機は約140億円。貿易不均衡の是正のため、米国製兵器の大量購入を求めるトランプ米大統領は、147機体制をめざす日本政府の方針を歓迎している。

 調査結果を受け、岩屋防衛相は早々に「現時点で(配備計画を)見直す考えはない」と明言したが、このまま計画通りに進めていいのか。

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備先について、秋田市の演習場が東日本唯一の「適地」とした防衛省の報告書に、信じがたい誤りが見つかったばかりである。F35の事故調査も結論ありきとみられれば、幅広い国民の納得は得られまい。

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