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 改正子どもの貧困対策法が衆参両院で全会一致で成立した。

 6年前に制定された現行法は、親から子に貧困が受け継がれるのを防ぐことを目的とし、施策の力点を教育の支援に置いていた。いわば「将来」を見すえた法律といえる。

 これに対し改正法は、将来だけでなく「現在」の貧困の解消を目的に明記し、対策として、保護者の仕事の安定・向上や所得の増大に役立つ支援をすることを新たに盛り込んだ。

 大きな前進だ。貧困の連鎖を断つのはむろん大切だが、まず目の前の生活苦を克服しなくては、未来を思い描けない。

 残念なのは、「貧困率を○年以内に○%以下にする」といった数値目標の導入が、与野党の事前調整で見送られてしまったことだ。独り歩きしかねない目標よりも、具体的に何をするかが大事であり、それを検証する仕組みづくりを政府に義務づけることにしたという。

 しかし、その検証の実をあげる意味でも、何らかの目標設定は必要ではないのか。改正法の効果を見ながら、引き続き議論すべきテーマだ。

 まず何よりも、足元の現実をふまえた政策を充実させなくてはならない。

 たとえば母子家庭が大半を占めるひとり親世帯は、半分が貧困状態にある。先進国では最悪のレベルで改善が急務だ。

 大きな要因は、非正規労働が多く、賃金が低いことにある。雇用の質を良くするとともに、児童扶養手当などの経済支援を充実させ、苦境から抜け出す手助けをする必要がある。

 改正法はまた、これまでの都道府県に加えて、現場をかかえる市町村にも貧困の改善に向けた計画づくりを課した。強制ではなく努力義務ではあるが、自治体間で実践例を学びあって施策を練ってほしい。

 とりわけ求めたいのは「食の保障」である。貧困家庭の子にとって学校給食は不可欠の栄養源だ。夏休み明けにやせ細って教室に現れる例が少なくないことが、それを裏づける。

 主食、おかず、牛乳がそろう完全給食の実施率は、公立中の場合、全国平均で93%だが、神奈川県(45%)など低い地域も残る。解消を急ぎたい。一方で奈良市や埼玉県越谷市は夏休み中などに学童保育で給食を提供している。こうした先進的な取り組みが広がるよう、政府は財政面で後押しするべきだ。

 貧困を本人の責任だけに帰す空気が、貧困対策の遅れをもたらした。改正法は「背景に様々な社会的な要因がある」と指摘し、それをふまえた施策の推進をうたう。まず、この認識を共有することから始めたい。

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