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 地球規模の環境問題に国境はない。多くの国が対策に乗り出しても、足踏みする国があれば解決はおぼつかなくなる。

 長野県軽井沢町でG20のエネルギー・環境関係閣僚会合があり、海洋プラスチックごみの対策で進展があった。一方で気候変動問題では目立った成果がなく、国際協調の難しさが改めて浮き彫りになった。

 海洋プラごみ対策で合意したのは、各国の取り組みを共有する国際的な枠組みを初めてつくることだ。回収やリサイクルなどの状況を、各国が定期的に報告するという。

 プラごみ対策が必要であるという点で、もともと各国に異論は少なかった。問題は今後、数値目標を決めてプラ使用量を抑えたり、使い捨てプラを規制したりといった実効的な対策にいかに結びつけるかだ。

 各国の事情は一様ではない。欧州やカナダのように使い捨てプラの禁止をめざす国もあれば、廃プラの処理能力がまだ十分でない途上国もある。今回の合意を第一歩に、国際協調を強めるべきだ。

 気がかりなのは、気候変動問題をめぐる対立である。

 地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が来年から始まるのを前に、より強い取り組みに向けた合意ができなかった。温室効果ガスの大幅削減をめざす欧州と、協定離脱を表明した米国との間で考え方の隔たりが埋まらなかったことが大きい。

 米国を孤立させないよう配慮し、共同声明は、協定参加国が合意内容の全面実行を確認するという内容にとどまった。

 気候変動問題にこだわるあまり、米国の反発を招き、海洋プラごみ対策などの交渉がまとまらないようでは困る。議長国の日本政府はそう考え、各国の合意点を見いだしやすいプラごみ問題を優先したようだ。

 だが、温暖化対策も急を要する。各国が現在の温室効果ガス削減目標を達成しても、産業革命以降の気温上昇は今世紀末に3度になる。「1・5度未満」というパリ協定の努力目標を達成するには、各国の削減量の大幅な引き上げが欠かせない。

 特に米国は、温室効果ガス排出量が中国に次いで世界で2番目に多い。この「超大国」が国際協調に背を向けていては、対策の実効性が欠けてしまう。

 もし米国に追随する国が現れれば、パリ協定が崩壊しかねない。トランプ大統領は超大国の責任を自覚するべきだ。

 まもなく大阪でG20サミットがある。議長の安倍首相は、うわべだけの会議の成功でよしとするのではなく、対立を超えて真の国際協調を築くよう努めてほしい。

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