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 地域の安全を守る交番の警察官が襲われ、拳銃が強奪される――。市民を恐怖と不安に陥れる事件が再び、今度は大阪府吹田市で起きた。

 警察官が刺殺され、奪われた拳銃で民間警備員が射殺された富山市の事件から1年。全国の警察が装備などで対策を進めるさなかだけに、衝撃は大きい。

 開かれた交番の役割を保ちながら、警察官の身の安全、さらには住民の安全と安心をどう確保するか。途上にある対策をはじめ、さらなる取り組みの検討に全力をあげねばならない。

 日曜日の早朝、吹田市の阪急電鉄千里山駅前にある交番前で発生した事件は容疑者が逮捕され、拳銃も発見された。住宅街から人影が消え、店舗の休業や公共施設の閉鎖が相次いだ一帯はひとまず平静を取り戻した。

 逮捕までの約25時間、拳銃を奪った男は大型商業施設に立ち寄ったとみられる。その間、5発あったはずの実弾のうち1発がなくなっていた。

 なぜ交番の警察官を狙い、拳銃を奪ったのか。容疑者は否認しているというが、犯行の動機や経緯、前後の足取りを綿密に解明することが求められる。

 捜査とともに急務なのは、警察官の安全を強化し、拳銃を奪われにくくするための対策だ。

 警察庁は、富山市の事件に続いて昨秋、仙台市でも交番の警察官が刺殺されたのを受けて、耐刃防護衣(防刃ベスト)の常時着用に努めるよう指示した。拳銃入れについても、材質を変え、装着している警察官以外の人間が抜き取りにくい構造にした新型の導入を進めてきた。

 今回襲われた警察官は防刃ベストを着ていたが、心臓に達する深さの傷を負った。改良の余地はないか、検証してほしい。

 この警察官が使っていた拳銃入れは旧型だった。大阪府警も新型を導入してきたが、すべての交番勤務員には行き渡っていないという。全国で早急に新型に切り替えるよう、予算確保など必要な対応を急ぎたい。

 事件が起きた交番には3人の警察官が当直勤務していた。隣の駅構内の公衆電話から空き巣被害の通報があったため、まず2人が現場に向かい、1人が鑑識の準備をして後に交番を出たところを襲われたとみられる。

 大阪府警は府内の交番勤務員に対し、常に複数で勤務し、交番に戻った際の施設確認を徹底するよう指示した。限られた要員で交番をどう運用していくか、増員する必要があるのか、研究課題だろう。

 地域の警察官が拳銃を奪われる事件は、今年4月の横浜市などたびたび起きている。考えうる対策を網羅し、取り組みを尽くしてほしい。

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