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 理念をうたい、課題と今後の方針を並べるだけでは困る。問われているのは具体策とその実行である。

 国会で「日本語教育推進法案」の審議が進んでいる。日本で暮らす外国人の日本語習得に関して、国と自治体、外国人を雇う事業者の責務を明記し、学習機会を提供するよう求める内容だ。3年前に発足した超党派の議員連盟が成立を目指す、いわば基本法である。

 一方、文部科学省の検討チームは、子どもを中心とした外国人への教育について、報告書をまとめた。学校内外での日本語教員の質と能力の向上や多言語対応、ITを活用した遠隔教育の充実などを掲げている。

 国内の外国人は270万人を超え、国はさらに労働者の受け入れを進めている。日々の仕事や生活には一定レベルの日本語能力が必要だが、学習の機会は総じて不十分だ。都市部と比べ農村部などでは日本語を学べる場自体が乏しいなど、地域ごとの格差も大きい。

 学びの空白をなくし、手厚くしていくには、どんな対策を急ぐべきか。

 働く人に関しては、事業者がもっと責任を持つ仕組みが不可欠だ。学習支援への取り組みは、技能実習生の受け入れ団体や事業者に対する評価の際にほとんど考慮されないなど、軽視されてきた。今春にスタートした特定技能制度を含め、取り組み状況をしっかり点検することが必要だ。

 都市部では学び直しのための夜間中学が外国人の日本語学習の場になっている。現状は9都府県で30校余にとどまっており、文科省は各都道府県と政令指定市に最低1校設ける方針を示した。早期に実現した上で、さらに増やしていきたい。

 子どもの教育では、学齢期の子が学校に通っていない「不就学」の解消が喫緊の課題だ。人数すら把握できておらず、文科省は全国調査を実施すると表明した。人権にかかわる、看過できない問題である。外国人家庭の訪問に取り組んだ浜松市などを参考に調査を尽くし、継続して通学できるよう対策を講じていかなければならない。

 外国人の日本語学習への支援は、自治体や地域のNPO、企業などが担ってきた。国の役割は、そうした多様な取り組みを財政面でしっかり支えながら、地域間の格差をなくしていくことだ。先進的な実践を広く共有する仕組み作りなども重要になるだろう。

 法案がうたう「多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現」に向けて、国の姿勢と実行力が試されている。そのことを肝に銘じなければならない。

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