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 教訓から学び、被害を少しでも小さくする。防災の基本をいま一度確認したい。

 18日夜に起きた新潟・山形地震では、幸い津波などによる被害はなかった。だが、20人以上が転倒するなどしてけがをし、震度6強を記録した新潟県村上市では崖崩れが発生。各地で民家の屋根や壁が損傷した。

 この先1週間ほどは、同程度の余震が襲う可能性があるという。加えて梅雨の時期だ。地盤がゆるんだところに大量の雨が降って、土砂災害を引き起こす恐れもある。被災地の人は気象情報や避難情報をこまめに入手し、危険を察知したら迷わず避難するよう心がけてほしい。また、病人やお年寄り、幼い子どもの体調の管理に、自治体や医療機関はもちろん、ご近所同士で気を配りたい。

 地震があったのは午後10時22分と遅い時間帯だったのに、多くの人が避難行動をとった。

 震度6弱の山形県鶴岡市小岩川では、高台の寺に約60人の住民がかけ込んだ。新潟でも着の身着のまま避難所に移った人がいた。役所などからの指示や勧告を待たず、自主的に判断した人も少なくなかったようだ。

 そうした人々は、前震の後で本震が襲った熊本地震や、津波が発生して26人が死亡した1964年の新潟地震を想起したという。過去を忘れず、今に引き寄せて考えることは大切だ。その心構えと行動が、有事の際に命を守る行動につながる。

 一方で、雨による二次災害が心配された19日、高齢者らに避難を促す情報が出るなか、自宅にとどまった人もいた。

 もちろん避難所に行くことだけが対策ではない。水のこない上の階に逃げたり、親類・知人の家に身を寄せたりすることも排除されるものではない。大事なのは、状況を正確に把握し、最善の方策を考えることだ。家族・地域で知識と経験を共有しながら、どんな場合にどう動いたらいいか、自分の頭で考える習慣を身につけたい。

 日本海側では過去に大きな地震が何度も起きている。64年の新潟の後も、83年の日本海中部地震で秋田県などで104人が死亡。93年北海道南西沖地震では奥尻島を津波が襲い、202人が犠牲になった。海底断層が陸に近く、津波が短時間で到達する特徴があるという。

 最近は南海トラフや首都直下地震への備えがよく話題になるが、どこであっても、いつ被災するかわからないのが地震列島の怖さだ。その認識をもって、土地の歴史を知り、訓練を重ね、避難先や経路を確認しておく。そうしたことの積み重ねが地域の防災力の向上につながると、改めて胸に刻みたい。

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