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 「日中新時代を切り開いていきたい」(安倍首相)

 「両国関係は新たな歴史的出発点にある」(習近平〈シーチンピン〉氏)

 日中両首脳が良好な関係づくりの意思を確認し合った。

 それ自体は歓迎すべきだが、外交辞令で終わらせてはならない。具体的な行動で諸問題を解きほぐし、互恵の構造づくりに踏み出すときである。

 習近平国家主席がG20会議に出席するため、大阪を訪れた。中国国家主席の来日は実に9年ぶり。それだけ両国関係の不全が続いていたのだ。

 おとといの会談では、高官の往来を増やすことなどで合意したほか、習氏が来春、国賓待遇で来日する方向になった。

 2012年の尖閣諸島問題による関係悪化を経て、雪解けから融和へと歩んだ近年の流れに改めて弾みをつけたい。

 この年内にも日中韓の首脳会議が中国で開かれる予定で、その際は安倍氏が訪中する。首脳の往来の活発化に伴い、安保、経済、民間交流などの各面で実質的な進展をめざすべきだ。

 関係改善は今のところムード先行にすぎず、懸案の解決が遅々として進んでいない。

 尖閣周辺での中国公船による挑発的な活動は増えている。防衛当局間の海空連絡ホットラインは、未開設のままだ。東シナ海のガス田共同開発に向けた協議も開かれていない。

 これでは国民感情の改善が進まないのも無理はない。東シナ海の平和と安定がなければ建設的な関係は築けないことを中国は強く認識すべきである。

 日本側の説明によると、会談では両国を「永遠の隣国」と位置づけることで一致したとしている。だが、中国側の発表に、その文言はない。対日融和をめぐり、まだ慎重さも残る微妙な温度差がうかがえる。

 そもそも今の日中接近をもたらしたのは、米国と中国の対立の影響が大きい。トランプ政権による関税制裁などに悩む習氏には、日本を引き寄せて米国を牽制(けんせい)したい思惑がある。

 自由貿易や多国間協議といった経済分野での中国の主張は、日本と立場が重なる。強引な二国間取引を迫る米国の姿勢は、同盟国かどうかを問わず大きな懸案だ。

 日本にとって中国は最大の貿易相手国である一方、対米同盟は安全保障の土台だ。対立が続きそうな両大国の間に立つ平和主義の国として、日本は新たな役割を考えねばなるまい。

 中国には平和的な発展と公正な市場運営を説き、米国には自国第一主義の不毛さを諭す。そうした対話に尽力し、アジア太平洋の安定をめざす日本の能動的な外交を築くべきである。

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