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 大阪で開かれたG20首脳会議は、米国が多国間の枠組みに背を向けるなか、国際的な合意をつくりあげる難しさを、改めて認識する場となった。

 G20は、2008年のリーマン・ショック直後、危機に立ち向かおうと始まった。ときの首脳らは「国際経済協調の第一のフォーラム」と位置づけた。

 10年あまりが過ぎたいま、これまで牽引(けんいん)してきた米国は自国第一主義を掲げて身勝手な行動を続け、国際秩序の乱れがあちこちで露呈している。

 新たな国際協調体制を生み出せるか。それが問われた。

 今回の首脳宣言は、米中が激しく対立する貿易紛争を念頭に、世界経済が下方リスクに直面していることを認めた。しかし、昨年の会議で途切れた「反保護主義」の表現は復活せず、「自由で公平かつ無差別な貿易・投資環境の実現に努力する」と記すにとどまった。

 地球温暖化対策でも前進せず、来年始まる国際的な枠組みのパリ協定は「署名国は完全な実行を再確認する」とした。同時に米国に配慮して「離脱の決定の再確認」を併記した。

 いずれも、経済的にも軍事的にも第一の大国である米国の賛同がなければ、G20が明確な方向性を示すのは難しい現実を突きつけている。

 しかし、成果がなかったわけではない。

 海に流出するプラスチックごみを「50年までにゼロにする」との目標や、機能不全が指摘される世界貿易機関(WTO)改革の必要性を、共有した。

 ネットの世界でビジネスを展開する巨大IT企業への課税ルールは、来年の大筋合意に向けた取り組み強化を明記した。国境を越えて行き交うデジタルデータの個人情報保護などのルールづくりも、来年6月までに実質的な進展をめざす方針で、大半の国が一致した。

 環境の悪化や技術の進歩に、できるだけ早く対応すべきだという問題意識を首脳が分かち合い、期限を明確にして課題克服の意思を示したことは評価したい。効力あるルールとして実らせることで、意味を持つ。

 今回の会議の直前、香港政府が、市民の反対が強い逃亡犯条例の改正案を事実上、廃案とする方針転換に踏み切った。各国の首脳が集まる場で、中国の習近平(シーチンピン)国家主席がこの問題で批判を受けるのを避けようとしたためとみられる。

 世界が注視するG20に、国際世論に対して一定の影響力がまだある証しだろう。その存在感を生かし、混迷の時代の新たな国際秩序の形成に向け、どう貢献できるのか。限界を直視したうえで、可能性を模索したい。

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