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 相当の危機感と覚悟をもって改革に取り組む必要がある。

 日本オリンピック委員会(JOC)の新会長に山下泰裕氏が就任した。東京五輪が1年後に迫るなかでの執行部の交代という異常事態をもたらしたのは、その五輪の招致疑惑である。

 竹田恒和前会長に贈賄の疑いが浮上し、業務に支障が生じるようになった。JOCによるお手盛りの甘い調査結果を盾に、説明責任を果たそうとしない氏の態度に批判が集中し、ついに退任に追い込まれた。

 ところが山下氏は就任会見で「再調査を行うことは現時点で頭の中にはない」と述べた。そんな姿勢で国民の信頼を取り戻せるだろうか。早々に新会長のかなえの軽重が問われる。

 近年、傘下の競技団体で暴力的な指導や不透明な選手選考などの不祥事が相次いで発覚した。共通するのは、特定の幹部が長年君臨し、組織の運営が硬直化していたことだ。

 スポーツ庁が中心になって、外部識者や女性の登用、定年制導入などを柱とするガバナンス規定が作られた。各団体に順守を促すためにも、まずJOCが健全な統治体制を確立しなければならない。先輩後輩関係が幅を利かす体質を改めて風通しを良くするとともに、役員の職務と責任を明確にして、なれ合いを許さぬ組織に脱皮すべきだ。

 「五輪後」を見すえた施策も忘れてはならない。

 JOCはかつて日本体育協会(現・日本スポーツ協会)内の一組織だった。政府の圧力によって80年モスクワ五輪をボイコットせざるを得なかった教訓を踏まえ、89年に独立した。

 しかし30年を経ても経済的自立は遠い。また、JOCは「国際的競技力の向上」、スポ協は「国民体育大会の開催などを通じた普及・啓発活動」という役割の分担が垣根になり、連携を欠いたまま、環境の変化に対応できていない実態がある。

 例えば、JOCは高度な医科学研究や選手の支援策を充実させてきたが、得られたデータや手法がひろく還元されているとは言い難い。国体に関しては存廃論がくすぶるが、開催する以上、地域の人と一流選手がふれ合う機会として活用すればいいのに、いかにも中途半端だ。

 中学高校の教員の負担軽減のため部活動の見直しが進む。外部指導員の養成や紹介などに、スポーツ界としてどう協力するかも今後問われるだろう。

 競技の普及、レベルの向上、指導方法の啓発、地元自治体との連携、財源の確保と適切な配分……。山積する課題にどう取り組むべきか。JOCとスポ協の組織のあり方を含めて、真剣に考える時期がきている。

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