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 参院選が4日、公示された。老後不安の問題や憲法改正の行方は、消費増税の是非は――。街頭で声を上げる候補者と、それを見極めようとする有権者の目。安倍政権の6年半を問う選挙戦が始まった。(候補者の年齢は投開票日現在)▼1面参照

 ■350人超が届け出

 4日公示された参院選には、朝日新聞の集計によると午後1時現在、選挙区(改選数74)に213人と比例区(同50)に146人の計359人が立候補を届け出た。

 改選数1の「1人区」では、全32選挙区で自民党と野党系の候補が立候補し、いずれも与野党対決の構図が確定した。3年前は11選挙区で野党系が勝利しており、野党共闘の効果が問われることになる。

 比例区では、個人の得票に関係なく優先的に当選できる「特定枠」が初めて導入された。自民党は「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区に伴い、選挙区に立候補できなかった2人をあてた。

 ■東京 改選数6、与野党こぞって擁立

 改選数6と全国最多の東京選挙区には、昼までに20人が立候補を届け出た。主要政党がそろって候補者を立てたうえ、自民と立憲民主が2人ずつを擁立する激戦区となり、党幹部らがさっそく応援に入った。

 自民は外交や経済対策といった実績を前面に打ち出す。3選を期す丸川珠代氏(48)は、建設が進む新国立競技場の近くで第一声。東京五輪・パラリンピックに触れて「日本、東京のすばらしさを実感できるようにしたい」と語った。菅義偉官房長官も駆けつけ、「第2次安倍政権の発足後、経済が上向き、強くなった」とアピールした。

 同じく自民の武見敬三氏(67)は、6年前に最下位当選だったことへの危機感から、組織の引き締めを図る。「活力ある健康長寿社会の実現を」と主張した。

 改選を迎えた公明の山口那津男氏(67)は党代表の立場から、この日午前は兵庫での応援演説に。「日本の政治の安定のためには、連立政権に公明党がなくてはなりません」と訴えた。

 野党側は、老後不安の問題や消費増税の凍結を争点にしたい考えだ。

 立憲民主は、新顔2人を擁立。元都議の塩村文夏氏(41)は新宿駅前で、「非正規雇用が4割に上っている」と、安倍政権の施策を批判。「こんな日本で安心して年をとれるのか」と訴えた。

 元新聞記者の山岸一生氏(37)も「社会を分断する政治が続いてきた。政治の責任放棄だ」と強調した。枝野幸男代表が初日から応援に入り、両氏への支持を呼びかけた。

 国民民主は、新顔の水野素子氏(49)を擁立。宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員の経歴を掲げ、「人と技術に投資して、日本の競争力を復活させる」と語った。

 再選を目指す共産の吉良佳子氏(36)は「国会で過労死やブラック企業の問題を取り上げてきた」と強調。志位和夫委員長は「憲法も争点だ。9条を変えていいのか」と力を込めた。

 日本維新の会から出た前都議の音喜多駿氏(35)は「議員報酬や議員定数の3割カットを進める」と主張。社民の新顔、朝倉玲子氏(60)は「働く人みんなの給与をあげる」と訴えた。前回は東京選挙区で当選した「れいわ新選組」の山本太郎氏は、比例区へ。東京選挙区には沖縄在住の野原善正氏(59)が立ち、米軍普天間飛行場の辺野古移設への反対を訴えた。

 ■岩手 小沢氏の牙城、師弟対決

 自民の公認候補が1992年を最後に当選していない岩手選挙区(改選数1)。民主党政権の復興相を経て、自民に乗りかえた現職の平野達男氏(65)が、自民公認として初の国政選に臨む。対する野党統一候補の横沢高徳氏(47)の陣営には、平野氏が師と仰いだ国民民主の小沢一郎氏が姿を見せた。小沢氏の牙城(がじょう)とされる岩手は、「師弟対決」の様相となった。

 4選をめざす平野氏は盛岡市内で開口一番、「自民党から立候補した平野です」と強調。「自公政権の安定した政治への望みを示してほしい。私が勝利することが岩手の政治の流れを変える」と訴えた。

 一方、横沢氏の陣営に駆けつけた小沢氏は「非常に厳しい戦い。相手は知名度が高い」と指摘。「この選挙で政権交代はできないが、国民の生活を無視する安倍政権を変えることはできる」と訴えた。

 ■新潟 「忖度」発言めぐり攻防

 新潟選挙区(改選数1)では、関門海峡の道路事業計画を巡って4月に「(安倍晋三首相らに)忖度(そんたく)した」と発言して批判を浴び、国土交通副大臣を辞任した自民現職の塚田一郎氏(55)と、立憲民主など野党4党が推薦する無所属新顔の弁護士、打越さく良氏(51)ら3人が、立候補を届け出た。

 塚田氏は新潟市で出陣式に臨み、「私の発言により多くの皆様にご迷惑をおかけした」と頭を下げた。問題の発言で塚田氏が「忖度した」と名前を挙げた所属派閥の麻生太郎副総理も駆けつけ、野党統一候補を「選挙が終われば一緒になるのか、ならんでしょうが」と批判した。

 打越氏はJR新潟駅前で「上ばかり向いた忖度政治を変えていこう」と主張。立憲民主や国民民主の野党国会議員も並び、「子分は親分のために、また忖度しなければならない」と塚田氏を批判した。

 ■大阪 改選数4、維新2人擁立

 大阪選挙区(改選数4)では主要6政党を含めて計12人が立候補し、全国屈指の激戦区になった。4月の府知事・大阪市長選で大勝した維新は2人を擁立した。

 自民現職の太田房江氏(68)は第一声で「安倍政権でこの国が立ち直ってきたのは明らか」と強調。公明現職の杉久武氏(43)は2025年大阪・関西万博に触れ、「大阪が主役の時代に変えたい」と訴えた。

 立憲新顔の亀石倫子氏(45)は「みんなの暮らしと自由を守る」。スリランカ出身の大学教授で国民新顔のにしゃんた氏(50)は「多文化共生の先頭に立ちたい」と訴えた。共産現職の辰巳孝太郎氏(42)は「政治を国民の手に取り戻す」と力説した。

 維新の現職、東徹氏(52)は「何としても2人が当選しないといけない」。新顔の梅村みずほ氏(40)も「子育て世帯の女性を応援したい」と訴えた。

 ■沖縄 辺野古、問われる姿勢

 沖縄選挙区(改選数1)では、安倍政権の支援する候補と「オール沖縄」勢力が推す候補がぶつかる。ほかにも2人が届け出た。

 自民新顔で公明が推薦する元物流広告企業会長の安里繁信氏(49)は、沖縄県浦添市内で出陣式。政府が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設については触れず、「右と左の対立は終わりにしよう」と訴えた。安里氏は、辺野古移設への賛否を明確にせずに選挙戦に臨む。移設に否定的な公明支持層や無党派層を取り込むのが狙いだ。

 無所属新顔で、辺野古移設反対で一致する「オール沖縄」勢力が支援する琉球大名誉教授の高良鉄美氏(65)は、埋め立て工事の現場が見える名護市の浜で出発式。「美(ちゅ)ら海、宝の海は絶対に埋め立ててはいけない」と移設反対を訴えた。1日には立憲、国民、共産の各党首らが那覇市にそろい踏みし、演説した。

 ■大雨の鹿児島、出陣式を縮小

 大雨に見舞われた鹿児島選挙区(改選数1)で立候補した3人は、いずれも大規模な出陣式を控え、室内などで行った。

 自民現職の尾辻秀久氏(78)は鹿児島市内の公園で予定した出陣式を事務所での立候補表明式に変更した。野党統一候補で無所属新顔の合原千尋氏(39)は出発集会を中止し、市内の事務所で第一声を行った。元霧島市長で無所属新顔の前田終止氏(71)はJR鹿児島中央駅前での出陣式を取りやめた。

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